『人間について』 司馬遼太郎・山村雄一対談集 中公文庫

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異色の対談

司馬遼太郎は言わずもがなの、日本を代表する歴史小説家。これまでも氏の作品は、NHKの大河ドラマなどでもたくさんの実写化されるほどの国民作家であります。

もうひとりの対談者である山村雄一氏は、医学者。専門は免疫関係で、結核についての研究に従事し、大阪大学の総長になった方。

対談の相手が方や歴史小説家、方や医学者という、あまり見たことがない異色の取り合わせがおもしろい一冊です。

生命への姿勢を問い直す

医学の世界は進歩がとても早いです。今はiPS細胞をはじめとする再生医療の研究が花形だと思いますが、どの分野も日進月歩。
そんなサイクルの速い医学の世界にあって、1983年に発行された本書はいささか時代遅れの誹りを免れない。
たとえ当時の最先端の話が盛り込まれていても、あっという間に古くさくなってしまうのは対談者の責任ではなく、医学というテーマにとっては致し方のないこと。

しかし、本書を読んでみると、そんな古くささや時代遅れの感じがもうとうないのが先ずもってすごいところだと思います。

冒頭の章のタイトルは、「医者の哲学・患者の哲学」というもの。
“医者の哲学”というのはたいてい想像がつくもの。
しかし、“患者の哲学”というのはどうでしょうか?

昨今、薬の副作用の問題や、誰のための医療なのかという問題がしばしば挙げられますが、一般的には、これは医者に対する問題として取り上げられることが多いように思う。
例えば薬価が高すぎるのではないか?とか、もう命が助からない状態なのに、患者やその家族に負担がだけがのしかかる過剰な医療はどうなのか?などが疑問視されたりしていますが、その矛先は、製薬会社や医者に向けられることがほとんどです。

しかしよくよく考えてみるとどうでしょうか?
どのような医療を選択するかというのは、医療を受ける側の問題、選択権をもっている患者側の問題です。
それを拒否するのも、トコトン病気と闘う姿勢をみせるのも、どちらを選ぶかは患者の権利です。
しかしそのようなシミュレーションを頭の中で普段しているわけでもないですし、病気になれば誰しも判断力が下がりますし、そもそも自分が病気にかかるなんて想像もしていません。病気なんて、自分の体なんて“他人事”というのがほとんどではないでしょうか。

でも、本当にそれでいいのでしょうか?

自分の命の選択です。
自分が自分の体にどう向き合うか。

そこには、自分の体に対しての哲学が必要です。
そして、自分の体をどうしまっていくかという哲学も必要になります。

本書はそのような厳しい問いかけからはじまります。

そして人間とは?

厳しい問いかけら始まった本書は、その後は幅広く展開していきます。

途中、司馬遼太郎氏の言動はあまりに跳びすぎて対談者の山村氏を置いてけぼりにするようなところもありますが、次第にまた話題は医学の世界へ戻って終わりを迎えます。

時代を超えた価値がある一冊だと思います。

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