気のおはなし ー 初歩的なおはなしとして
気とはなにか?
気は生命エネルギー
少し前に、こちらのブログで「気」「血」「水」の簡単な説明をさせていただきました。
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その中でもおはなししたことの繰り返しになりますが、「気」というのは決して神秘的なものでも、いかがわしいものでもありません。単純に、「気」というのはエネルギーです。
たとえば車でいえば、エンジン内でガソリンが発火して、その発火したエネルギーがエンジンを動かし、その動力がさらに全体に行きとどいて車が発進します。このような、ガソリンが発火して作られた動力が「気」ということになります。
「気」は体だけではなく、精神のはたらきの動力にもなりますので、より広い意味で“生命エネルギー”ともいわれることがあります。
ちなみに、中にはこの「気」が流れているのが見えるとか、感じることができるという人がいますが、太極拳の達人になるとそういうこともできる人もあるのだろうと思いますが、私はそういったことは一切できません。
ということで、「気」というものは、体のいろいろなところで様々な作用をおよぼすことから、その作用・用途によって大きく四つに分けることができます。その四つを見ていきましょう。
四つの「気」について
東洋医学の原典となる『黄帝内経』には、様々な角度から「気」を取り扱っており、とても細かく分類をしています。
気は目に見えるものではありませんから、その分類は見た目ではないはずですが、体を分析・治療するための必要性から、これだけ分類する必要があったのだろうと推測もできます。
今、その全てを挙げると繁雑になりますので、先ずはよく使われる四種類に分けてお話をしていきます。
- 元気
- 宗気
- 営気
- 衛気
これは、それぞれの「気」がどこに存在しているかを中心に分類した名称です。
それでは、一つ一つ見ていきましょう。
1.元気
元気という言葉は、「今日も元気そうですね~!」とか、「元気にいこう!」というように、日常的にふつうに交わされます。
この日常会話に使う“元気”という言葉は、東洋医学でいう“元気”と同じニュアンスを含んでいます。
元気とは、体の全体に拡がっている生命活動の原動力。
なので、「元気がいいね!」というときは、その人が醸し出す全体のイメージを捉えて言っていると思いますが、その体全体が醸し出すイメージこそが、元気の現れであります。
細かくいえば、その元気は全身に拡がって、肺や肝臓といった臓器、そして皮膚や筋肉といった組織にも及びますので、“元気がいい”というのは、単なるイメージのことだけではなく、それら部分部分もまた元気であり、その全体もまた元気であるということを示しています。
2.宗気
宗気とは、胸の中で生成され、存在している気のことをいい、主に肺と心によって動かされます。
この宗気は、胃腸で作られた水穀之精微という栄養物質に、肺から吸入される清気が結合してできたもの。
心臓の拍動や、呼吸運動、発声、心臓からの血の駆動などの力になります。
3.営気
営気は血脈の中を流れる気のこと。
宗気と同じように、胃腸で作られた水穀之精微と肺から入ってくる自然之清気が結合し、それが血脈の中に入って営気となる。
営気のはたらきは、現代医学の血液とかぶるところがあり、主に栄養を運ぶ気となります。
4.衛気
衛気は、営気と同じように血脈を通りますが、営気が血脈の中であるのに対し、衛気は血脈の外を巡ります。
皮膚や筋肉など浅めのところを通り、体の温もりを維持したり、体温を調整したりするはたらきがあります。
また、風邪など外側からやってくる悪いものに対して防禦する気でもあります。
宗営衛三気図
この絵は、明の時代に張介賓という医家が著わした『類経図翼』という本に挿入されている図です。
上半身を三等分し、一番上の胸部に「宗気」、真ん中に「営気」、下腹部に「衛気」と書いてあるのが読めるかと思いますが、これはそれぞれがの気が出てくる場所、主に存在する場所を示したものです。
細かく分類している「気」
気という漢字を含んだ言葉は他にもいろいろあります。
これは、東洋医学を作ってきた人々が、気というものを漠然とし捉えていたのではなく、一つ一つ経験を積み重ねながら茫漠とする気を分類してきた結果なのだと思います。
現在、東洋医学を仕事にしている人のなかには、いい加減な分類で気という言葉を弄んでいる人も少なくありません。
しかし実際はこれだけ細かく意識的に分けていて、それをまた身体の調整に利用できるものでもあります。
気というものは、決して怪しいものではないということを理解していただけたらと思います。
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