セミの抜け殻も漢方薬に!?

omotesando tokyo japan acupuncture clinic 源保堂鍼灸院 表参道・青山・原宿・渋谷エリア

セミの物語

セミと夏の到来

今年の梅雨は長く、雨も多かったので、ほんとうに梅雨は明けるのかな?と思った方も多かったのではないでしょうか。

私も、これだけ雨が続くと、あの“平成米騒動”を思い出さずにはいられません。
あれは大学生の時だったか、浪人しているときだったか、とにかくはっきりとしない天気がずっと続き、結局そのまま夏が来ることがなく、当時の政府が苦肉の策としてタイ米を輸入するという騒ぎに発展しました。タイ米をおいしく食べる工夫とか、テレビでもそんな話題が多かったように思います。

この“平成米騒動”のときは、本当にセミが鳴きませんでした。
全く鳴かなかったどうかまでは覚えていないのですが、でも、ほとんどセミらしいセミの鳴き声を聴いたことがありませんでした。
夏といえばセミ、セミが鳴けば夏、こんな方程式が染みついていますから、その年の夏は異様だなというのは肌で感じていました。

そんなこともあって、今年はどれくらいでセミが鳴くのだろうと気にしていたのですが、いつもの年に比べて鳴き出しはとても遅かったのではなかったかなと思います。
梅雨が明ける1~2週間前に、ようやくセミの声が耳に入ってきた、そんな感じではなかったでしょうか。
そして、セミが鳴いたから梅雨が明けるかな?と思ったら、やはりその方程式の通りに夏がやってきたという感じでありました。

いずれにせよ、日照不足で身体もおかしな感じになっていましたし、自宅も湿気でカビが発生するなどたいへんでしたので、ようやく、やれやれといった感じでありました。

童話にも出てくるセミ

イソップ童話の中に、『アリとキリギリス』というのがあります。
コツコツはたらいて貯蓄をしていくアリに比べて、派手な演奏生活で浪費に次ぐ浪費で何の蓄えのないキリギリス。
勤勉の大切さを伝える童話としてとみに有名であります。

この『アリとキリギリス』は、地方によってはキリギリスではなく、セミという設定もあるそうです。
たとえばフランスのラ・フォンテーヌの『寓話』の第一話は、『アリとセミ』というタイトルで、『アリとキリギリス』と同じお話になっています。

セミはセミで、歌ったり踊ったりして何も蓄えていないというわけではなく、地上に出て夏を謳歌するまでに1,2年、長いものでは6,7年は地中の中で地道に生活をしているのだから、セミからしたら『アリとセミ』なんていうお話しは不愉快なものに違いありません。そしてこのセミの鳴き声も、自分の生命力の証であり、自分の命をつないでいく必死の求婚アピールなのだから、イソップ物語のモチーフは、必ずしも批判には該当しないであろう。

昆虫の中で最も長生きをするのはシロアリの女王で、なんと50年も生きるという。
さすがにセミはそこまでの長生きではないが、地中から地上に出るまでの間は6~7年といわれるので長命の部類に入る。アメリカには“17年ゼミ”という名称のものがいるそうなので、それを考えると、セミだってアリのようにコツコツと生きているにちがいない。

夏の季節の移ろいとともに

セミの鳴き声はそれぞれ種類によって特徴的です。
松尾芭蕉が山寺で詠んだ有名な「閑さや岩にしみ入る蝉の声」。
いったいこの“蟬の声”とは何ゼミだったのかと、かつては論争があったようであります(結論としてはニイニイゼミとなったようですが)。

さて、このように特徴のある鳴き声を示すセミでありますが、鳴き始めから終わるころまでに、夏の暑さを微妙に嗅ぎ分けているのか、その時期によってセミの生息が異なるのです。

初夏に、主に松林でジワジワと鳴くのがハルゼミ
そして梅雨明けにはニイニイゼミ
本格的な夏真っ盛りになるとアブラゼミ、ミンミンゼミ、そして関西ではクマゼミも
そうこうしているうちにヒグラシが黄昏どきや夜明けに鳴き出します
そして秋の気配が感じられるようになって、土用が過ぎるころにはツクツクボウシ

このように、セミの鳴き声を聞き分けるだけで、夏の変化が分るのも風流なものであります。

セミの抜け殻は蝉退

蝉退

暑い夏の日、公園などに行きますと、木や草にセミの抜け殻を見かける機会も多いかと思います。

このセミの抜け殻は、実は漢方薬の生薬になるのです。

セミの抜け殻(C)肩こり・腰痛・寝違い・頭痛・生理痛など源保堂鍼灸院Tokyo Japan Acupuncture Clinic

漢方薬の生薬では、セミの抜け殻のことを「蝉退(せんたい)」または「蝉蛻(せんぜい・ぜんぜい)」といいます。

こんなセミの抜け殻を薬に使うなんて・・・。
それを聞くと、だから漢方薬なんて信じられないんだ!なんてご立腹なさる方もいるようですが、でも、現実に、古来よりこのセミの抜け殻は、漢方薬として利用されてきたのであります。

生薬としては大別すると二種類あって、全身が黄金色で透明、光沢があるものを「金蝉衣(金進蝉退)」、灰褐色で半透明、光沢がないものを「土蝉衣(只進蝉退)」といいます。

それでは、セミの種類によって分けるのか?というと、そこまではしないようです。というか、セミの種類は多いですから、完全には整理をしきれないということらしいです。

蝉退の用途

次に蝉退の用途ですが、主に風邪などによる悪寒や熱に対する解熱、または、蕁麻疹などの皮膚の痒みに用いられます。
その他にも、咽喉炎、結膜炎などの炎症、さらには破傷風、小児の驚風などに対しての鎮痙薬にも使用されます。

この他にも、民間薬的な利用として使われるようです。

セミの抜け殻を利用するという、ほんとうにいろいろなものを使っていますね、漢方薬は。

関連記事

  1. ツボのお話し 東洋医学(C)表参道・青山・原宿・渋谷エリアにある、漢方相談もできる源保堂鍼灸院 Japanese acupuncture
  2. コラム東洋医学ってなに?(C)肩こり・腰痛・寝違い・頭痛・生理痛など源保堂鍼灸院Tokyo Japan Acupuncture Clinic
  3. 東洋医学のお話し(C)表参道・青山・原宿・渋谷エリアにある源保堂鍼灸院Acupuncture Clinic Tokyo Japan
  4. 北京研修の旅 北京中医薬大学・日本校(日本中医学院)(C)表参道・青山・原宿・渋谷エリアにある源保堂鍼灸院
  5. 北京研修の旅 北京中医薬大学・日本校(日本中医学院)(C)表参道・青山・原宿・渋谷エリアにある源保堂鍼灸院

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP