『ゆるい生活』 群ようこ著
生活をシフトダウン、それは“ゆるさ”の復権
不定愁訴に東洋医学
著者は、50代を過ぎた辺りからめまいを発症。
そのめまいを東洋医学(ここでは漢方薬)と、そこで施術されるリンパマッサージで乗り切った、というのが本書の大きな流れ。
しかし、ただ漢方薬を飲みました、ただマッサージを受けました、というお話しではありません。
めまいという不調を皮切りに漢方薬局に通いはじめた著者は、自分の身体の体質をまざまざと思い知らされ、そして甘い物をやめたり、水分を摂りすぎないようにする、はたまた根を詰めてしまうような趣味を遠ざけるなど、今までの生活を変えていかなくてはいけないという厳しい現実を突きつけられます。
最初はなかなか漢方の成果が上がらない中、薬局の先生に言われることへの抵抗感を強く感じながらも、少しずつ改善していく自分の身体を実感することで、これまでの生活を反省したり、これからの生活に希望をもっていったり。
本書では、著者が漢方薬局に通い始めてから早6年間の月日が経っているわけですが、その間の生活指導を著者流で取り入れ、完全に直すことはできないけれど、許容できる範囲を漢方の先生と相談しながら見つけていく、自分のここちよいポジショニングをチューニングしていくといった、まさに“ゆるい”調整。
本書のような、原因の分らない不定愁訴は東洋医学の得意な分野の一つですね。
自分の身体と向き合うこと
本書を通して感じるのは、東洋医学というフィルターを通して、自分の身体や人生を俯瞰し直すことの大切さです。
日々鍼灸臨床でクライアントさんと接していると、“自分の身体と向き合うこと”の大切さを知ってもらうことがとにかく大事なんだなと思うことがしばしばあります。人間も、産まれてきたときに、家電のような取扱説明書が付属していればいいのですが、そうはいきません。産まれてきたときから今日まで、人間(動植物)はさまざまな影響を受けて生きていますから、その間に自分の体質というものが形作られます。自分の体と向き合うということは、その体質を理解して、自分に合った生活を見つけてもらうことでもあります。
クライアントさんによく言うことなのですが、私たち施術者ができるのは、クライアントさんのエンジンの調整まで。そのあと、どんなガソリン(食事)を入れるか、どんな乗り方をする(睡眠や仕事のペース、趣味など)は、クライアントさん自身の問題になります。最終的に、実行してもらうかどうかは、患者さん自身になります。
自分の身体を見つめ直すと、自分の身体の乗り方が、おぼろげながら分ってきます。
体力が有り余って無理しても良いからだ、小まめに休息を取らないとすぐにへたってしまうか弱いからだなど、身体にはそれぞれ個性があります。その個性を受け入れながら、自分の生活のリズムやペースをつかむと、日々の過ごし方がとても楽になります。
からだの不調を作ったのは、実は自分であったりもします。
自分の日ごろの不摂生や、過度な行動によって自分の身体をいじめてきた結果が、今の不調であることがほとんどです。
たとえそれが仕事であったとしても、どこかで自分の身体を俯瞰し、自分の身体を見つめ直す時間を持てていたとしたら。
そしてその生活がおかしいのでは?と気づける瞬間に蓋をするのではなく、もう少し改善できることをやっていたとしたら。
その出発点が、“自分の身体を見つめ直す”こと。
“自分の身体を見つめ直すこと”ができるようになると、不思議と鍼灸の効き目も大きく伸展します。
施術者の力量だけではなく、クライアントさんの気づきも鍼灸の効果につながっていきます。
東洋医学を通して、自分の身体を見直し、より楽しい人生を過ごしていただけたらと毎日願っています。
こちらではありませんので…
こちらは群ようこさんとは無関係です。ご注意ください。
「群ようこ ゆるい生活 リンパマッサージ」や、「ゆるい生活 漢方薬局」などで検索すると、このページが上位に表示されるようです。
そこで、早合点して問い合わせが来ることもあるのですが、群ようこさんが通っている漢方薬局はうちではございませんので、どうかお問い合わせはご勘弁くださいませ。また、群ようこさんが通っている漢方薬局がどこかも知りませんので、ご自身でお探しください。
漢方薬を扱っている先生は、どこも勉強熱心かと思います。『ゆるい生活』に出てくる漢方薬局ではなくても、良い先生はたくさんおります。自分と相性が合って、かつ場所的にも、金銭的にも、通えるところを見つけることが肝要かと思います。
読者の方が、よい先生に出会って、より楽しい生活を送ることができることをお祈り申し上げます。
源保堂鍼灸院
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