養生について

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養生

貝原益軒の『養生訓』というのは覚えたけど

日本史を少し学んだり、江戸時代などに興味がある方でしたら、貝原益軒の『養生訓』という書籍をご存知かと思います。
貝原益軒は、江戸後期の代表的知識人として特に有名なので、歴史の教科書に出てきたり、中間テストなどで出題されたことを覚えている方もいるのではないでしょうか。

しかし、実際にこの『養生訓』を手にとって読んだことがあるという人になると、本当に数えるほどしかいないのではないでしょうか。
といっても、『養生訓』だけではなく、他の古典にしても、テストに出るからという理由だけで暗記だけはしたことがあるというのがほとんどだと思います。
だからきっと、この『養生訓』も他の古典と同じように、一度も手に取ることもなく記憶から消え去ったに違いありません。

でも、この本のお陰でしょうか、なぜか“養生”という言葉はなんとなくいわれれば分かるという単語として定着しているのも事実ではあります。

また、『養生訓』は、今でも岩波文庫や講談社学術文庫からも出ているので、実際に手に取ることができるものであるというのは、何かといえば気になる一冊であり続けているからなのかなと思ったりもします。

でも、そうはいっても“養生”・・・。
養生っていったい・・・なに・・・?

というのが一般的な印象ではないでしょうか。

養生という言葉はどこから

“養生”という言葉は、中国の古典にあります。
また、養生という言葉には、「摂生」「遵生」「保命」といった類義語もまた古くからあります。
例えば道教の始祖である『老子』には、「摂生」が使われています。
より詳しくは後述しますが、これらは多少のニュアンスの違いはありますが、概ね、“生命を大切にする”という基本原則を伝える言葉になります。

そしてその内容とは、体質・体力を増強すること、疾病の予防や年老いていくスピードを遅らせる、健康の維持、寿命をより積極的に伸ばす、そんなことが中心になります。
さらに具体的な手法となると、導引(太極拳のような健康体操)、飲食物、心のあり方、四季の過ごし方、そして鍼灸など、その取り扱っている範囲は多岐に渡ります。

中国で生れ育った養生は、やがて日本にも輸入され、日本の風土の中でも独自に発展したものもあり、その一つの頂点であったのが、前述した貝原益軒の『養生訓』ということになります。

養生という言葉を深掘り

「生」と「養」

“養生”という言葉は、漢文として読めば、「生を養ふ」ということになります。
ということで、「生」と「養」と分解してみてみましょう。

まず「生」です。
「生」は、生命、生存、生長などを指します。
まとめると、“生きること、そのエネルギー全体”といったところでしょうか。

次に「養」です。
「養」は、補養、保養、調養、護養などに言い換えることができます。
これは訓読みした“養う”というのが一番しっくりとくるかもしれません。

では、「養生」という言葉になりますと、どのようになるでしょうか?
単に二つの言葉を重ねたというだけではなく、それによってより「生」も「養」も意味合いが深まっているのではと思うのです。

というのは、「養生」という言葉に含まれる意味を、その使われている古医書の文献から観ていくと、様々な方面に使われているからです。

例えば一番分かりやすいのは、肉体的な面での養生ということで、体の鍛練の意味があります。体を健康に保ちましょうということで、適度な運動としての気功や導引、太極拳のようなものも含みます。
そして次に分かりやすいのは、日々の食事。毎日の食事が体をつくり、こころを育ててくれます。よって、飲食についての意味も含まれます。季節に合わせて何を食べたらいいのか、こんな不調の時はどんなものを摂ったらいいのかということで、薬膳という分野も養生の一つになります。
さらに、日々の生活全般を見直すということもありますので、夜は早く寝ましょう、季節に合わせた適度な服を着ましょうなど、生活起居といった全般も養生に入ります。
そして最後に、精神的な面です。東洋医学では、身体と心は一つで、どちらも必要不可欠と考えます。身体が元気であれば、気持ちも元気になるのが常ですから、気持ち・こころ・精神の面からも調えましょうということも、生命を養うことになります。これは少々説教じみた感じもしないのではないですが、欲を慎みましょう、喜怒哀楽に振り回されないようにしましょうという指導になります。

瀬戸郁保 Ikuyasu Seto

源保堂鍼灸院の院長をしています。

“人生を楽しく過ごすこと” 、これが東洋医学の根幹にあります。
つらい症状で人生までもが暗くならないよう、豊かな人生のためのご相談にのれたらと願っています。

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