「かかりつけ鍼灸院」という発想で
医療機関としての鍼灸院
5月以降の当院の対応
新型コロナウイルスCOVID-19の余波が続いている昨今ですが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?
4月中は緊急事態宣言も出され、急激な感染拡大が意識されました。
そこで、患者様の感染防止や、鍼灸院内での感染予防もありまして、公共交通機関の使用をお控えいただくようなお願いを出しておりました。
そのため、結果として患者様の多くが受鍼機会を失うこととなってしまい、たいへん心いたく、申し訳なく感じた次第であります。
今思うと、もう少し緩めて対応してもよかったのかもしれないと思いながら、第二波、第三波への基準作りの参考材料にしていこうと思います。
5月14日(木)の会見によって、一定の基準が示されました。
最近の感染者数の推移を見ていますと、今現在はそこまではひどくなさそうなので、当院としましても、今月(5月)からは今まで通り積極的に、皆様の健康のために寄与してまいりたいと思います。
以前ブログにも書きましたが、今回の緊急事態宣言下の中にありまして、鍼灸院も医療機関として認められました。
国民の健康にとって必要不可欠のものであるということが定義されました。
つまり、鍼灸は生活インフラ、ライフラインと言うことになります。
それを受けまして、当院が所属する日本鍼灸師会でも、これからの鍼灸のあり方についての説明が廻ってまいりました。
このあたりの経緯などは、こちらの記事をご覧下さい。
[clink url=”https://genpoudou.com/virus-measures-from-acupuncturist-association/”]
かかりつけ鍼灸院へ
病院はどんなときに行くところ?
今現在、かかりつけ医をお持ちの方も多くあるかと思いますが、病院は、“病気になってから行く”ところであります。
西洋医学は、“病気を診る”医療ですので、それは当然なことであります。
ということは、ふだん病気にならない人にとっては、病院は縁遠いところですから、かかりつけ医というものを持っていないということになります。
また、ちょこちょこ身体の不調があって病院にかかる方でも、かかりつけ医といっても、ふだんの生活を見ているわけではありませんので、健康生活のアドバイスなどはあまり細かくされないのではないかと思います。
“かかりつけ医”といっても、それは単に、家の近所で行きやすいから病院、といったくらいの認識ではないでしょうか。
病院は患者さんも多く、一人一人に与えられた時間は短いのが普通なので、これはこれで致し方のないことです。そしてさらに、病院に行くと、新型コロナウイルスCOVID-19をはじめ、インフルエンザや風邪などを持って帰ってしまうこともありますので、こういったときはなかなか足が病院には向かない(向けられない)です。
もっと気軽に健康の相談ができる場所があるといいと思われている方も多いのではないでしょうか。
本来のかかりつけ医の役割は、健康を害さないように、健康のアドバイスをする場所のはずなのですが、それがうまく機能していません。
それは、病院というシステム、西洋医学という学問の性質上の、根本的な要因によるところが少なくありません。
※ 諸外国のことは知りませんが、これからの病院の方向性としては、このような弊害がないようにするのが大切になるのではないでしょうか。
鍼灸院はどんなときに行くところ?
一方、鍼灸などの東洋医学はどうでしょうか?
東洋医学は、病気を診る医療ではなく、“体を観る”医療です。
たとえば風邪を引いた場合、風邪というウイルスに対してアプローチするのではなく、風邪という外から入ってきたものに対して、体がどう反応しているか?を観ていくのが東洋医学です。体力が弱っている状態であれば、体力を補うことで抵抗力を増してあげて、風邪を追い出すと言うことが東洋医学の発想になります。
肩こりがする、腰が重い、膝に違和感があるといった不快感は、病気と言うよりは、体の変調であることが多いので、“病気を診る医療”よりも、“体を観る医療”の方が対処法が見つかるのは当然のことであります。
自分のこれまでの体の歴史を振り返ってみていただくと分かるかと思いますが、病気よりも、体の変調の方が続いていることの方が多いかと思います。
つまりは、多くの場面で、鍼灸や東洋医学がお役に立てると言うことになります。
そこで、これからは、かかりつけの鍼灸院、つまりは“かかりつけ鍼灸院”という存在が、より望まれてくるのではないでしょうか?
鍼灸院も医療機関として認められた今、ここは、「かかりつけ医」ならぬ「かかりつけ鍼灸院」という発想をお持ちいただけたらと思います。
プレ・プライマリ・ケアとしての役割
「プライマリ・ケア」という言葉をご存知でしょうか?
プライマリ・ケアは、多くの要望を満たす医療なので、一概にまとめるのは少し乱暴かもしれませんが、簡単にまとめると、「身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療」ということになります。
何でも診てくれる最初の医療、こんな時どうしたらいいだろうと最初に相談できる医療、地域の中で患者さんと寄り添ってくれる医療、このような概念がプライマリ・ケアにあります。
正直なところ、現代の段階で、鍼灸院がこのプライマリ・ケアを担うのは少々重荷なところがあります。
それは制度的な問題、法律的な問題、設備上の問題、また技量や技術といった問題など、多くの課題があります。
ここの段階は、やはり地域の開業医である“かかりつけ医”の出番ではないかと思います。
でも、それ以前の所ではどうでしょうか?
もしも、この段階で、問題ありませんよと言われてしまったら、果たしてどこへ行ったらいいでしょうか?
プレ・プライマリ・ケアとしての鍼灸院
そこで鍼灸院や東洋医学の未病が役に立つのではないかと思います。
つまり、鍼灸院は、プライマリ・ケアのそのひとつ前にある、“プレ・プライマリ・ケア”を担当するのが一番ではないかと考えます。
鍼灸師は、体を診ています。
体の変化を観ています。
いつもと違うな?
病院よりも時間はありますので、問診もします。
いつもより食欲はありますか?
いつもと比べて睡眠はどうですか?
日常の普通の状態である“いつもの体”。
これと、今の体がどれだけ差があるのか?
それを問診するだけでも、体の変化に気づく、それが鍼灸師の得意なところです。
また、鍼灸師には、脈診や腹診といった独自の体を診るツールがあります。
それらを使うことで、体の変化をいち早くつかむことができます。
この脉診や腹診というのは、日本の鍼灸師が特に力を入れて学んでいるものです。
このような技術を学んでいる鍼灸師は意外に多いものです。
プレ・プライマリ・ケアとして、皆様の体や心の変化に耳を傾ける、“かかりつけ鍼灸院”を持っておくことをお薦めいたします。
表参道・青山・源保堂鍼灸院
Tel. 03-3401-8125
https://genpoudou.com/