大切な言葉
胸にしまっておく言葉
以前、旧ブログの『鍼たま』でも書きましたが、出張先の四国では、老夫婦のお家まで往診に行っています。
今回ももちろん往診をしてきたのですが、治療後に用意していただいたお昼をいただきながら、しばし三人で歓談をしました。
「お正月には実家に帰りはった?」「少し肥えたんちゃうん?」など、笑い混じりの会話が進む。そしていろいろな話をしているうちに、ご夫婦二人の結婚当時の話に話が及んだ。奥様がエピソードを語る中、そばに座っているご主人はニコニコ嬉しそうに笑っている。
そうこうしているうちに四国の治療所に帰る時間が来てしまった。旦那様は一足先に話を切り上げて車の準備をしにガレージへ。そしてその間ほんの10分くらいの間だが、奥様と二人きりになった。
そのとき奥様が、こんなことを話し出した・・・。
「わたしらな、見合い結婚やったけどなあ、あの人と話しをしていて、ある言葉に惹かれて、この人なら間違いない!って思ったんや。」と。
「それはプロポーズの言葉なんですか?」
「いや、そんなプロポーズなんて改まった気の利いたことやないんやあ。普通に会話していた中で何気に言った一言なんやけどな。」
「そうなんですか~?それはぼくが聞いてもいいんものですか・・?」
「いや、これは私の中だけのもんや。これまで人に話したことなんて一度もないで。もちろん主人にも内緒にしてはります。死ぬまで自分の心に入れときます。」
なんてロマンティックなことなんだろう。今でもそのときの言葉を自分一人の胸の奥深くに、大事に大事に仕舞っている。世界でたった一人だけが知っている秘密の言葉に違いない・・・。
車のクラクションがプップーーと鳴る。
ご主人が車を表に出してきてくれた合図。
私は奥様にお礼を言って玄関を出た。
ご主人はいつものように、ニコニコしながら私を送ってくれた。
「瀬戸はん、今度いつ来るん?・・・・」

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
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