「東洋医学」の定義
東洋医学って何を指しているの?
かなり曖昧に使われている“東洋医学”
鍼灸という仕事をしているので、当然わたしは“東洋医学”という言葉を何も考えずにふつうに使ってしまいます。
一般的に使われるときでも、ずいぶんと曖昧に“東洋医学”という言葉が使用されているように思います。
中には“東洋医学”という言葉がもっているイメージを利用して、東洋医学とは全く関係ないものを扱っているところもあります。
そういった弊害もあるかと思いますので、ここで改めて「東洋医学」の言葉の整理をしてみようかと思います。
伝統医療であるということ
東洋医学といったときに、まず最初に定義されるのは、「伝統医療である」ということではないでしょうか。
伝統医療というのは、昔から受け継がれてきている医療ということができます。
では、どのくらいが昔なのか?
例えば50年前なのか?それとも1000年以上なのか?
この昔がどこまでを指すかは厳密に線引きをすることはできませんが、個人的な感覚としては、500年間とか、4000年前とか、そういった単位のものではないかと思います。100年前くらいですと、一世代、二世代くらいまえですから、伝統医療というにはまだ日が浅いように思います。
体系があるもの
伝統医療といっても、ゲンノショウコを飲むとお腹の下っていたのが治るとか、虫刺されにはヘビイチゴの焼酎漬けが効くというのは、民間薬のレベルであって、そこには身体を全体で捉える体系はありません。
“医療”や“医学”という言葉が付くからには、そこには身体を見つめる大きな医療体系が必要になります。
“東洋医学”といった場合、『黄帝内経』や『難経』といった2000年以上前に書かれた書物の中にある医学大系が根底にあります。
そこには、身体の基本的な成り立ち、構造、症状の話、診察・治療方法など、医学としての体を為すだけの十分な体系があります。
このような体系がない知識や知恵は、その効果のいかんは別として、おばあちゃんの知恵袋や民間薬といったものに留まります。
東洋医学の“東洋”はどこまで含めるのか?
狭義の東洋医学の範囲
“東洋医学”といった場合、狭い意味ではその“東洋”とは、“中国”を指します。
よって、狭義の東洋医学は、「古代中国で発祥した体系のある伝統医療」ということができます。
そしてこの狭義の定義で行きますと、中国発祥の伝統医療には、鍼灸、漢方薬、薬膳、養生法などが東洋医学の中身ということになります。
広義の東洋医学の範囲
“東洋”という言葉が指すエリアをもっと広く考えると、タイやインドネシアはもちろん入りますし、たとえばもう少しアジアという視点でいえば、インドやネパール、サッカーのアジア予選などの範囲でいえば、さらに中東の国々も入ります。
以上のように“東洋”の定義を拡げた範囲の国々には、その地域で独特に発達して伝統医療があります。
そこでさらに体系がしっかりとあるようなものですと、有名なところではインドのアーユルベーダや、中東のユナニ医学などがあります。
このように、広義に東洋の範囲を拡げると、東洋医学に含まれる医学は複数あることになります。
まとめ
こうして改めて「東洋医学」が何を指すのか考えてみると、「歴史がある(伝統がある)」「(学問や技術の)体系がある」「中国またはアジアで発祥」ということが分ります。
こんな細かい定義はどうでもいいことかもしれませんが、「東洋医学」が何を意味するのかはっきりしておくと、巷にある様々な商品やサービスの売り文句の正否の判断にも使えると思います。
細かいことではありますが、そんなことを改めてご理解いただけたらと思います。
ということで、本サイトでは、「狭義の東洋医学」、つまり「鍼灸、漢方薬、薬膳、養生法などを含めた中国発祥の伝統医療」のことを指しています。
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