Q.一回の呼吸でどれだけの換気量があると思いますか?
一回の呼吸でどれだけの換気量があると思いますか?
答えと解説
答え
安静時に普通に呼吸した時は、成人男性で約500ml、成人女性で約400mlほどになります。
空気が取り込まれる通り道
私たちにとって、呼吸はとても大事なものです。
心臓の心拍と同様に、呼吸もまた一生を通して、止まることなく行われる生命維持のための生命活動です。
呼吸をすると、空気は鼻腔から吸い込まれ、咽頭、気管、気管支を通過して、さらに細かく枝分かれしているところを通って、肺胞というところまで行き着きます。
肺胞について
肺胞は小さな丸いもので、葡萄の房のようになっています。
この肺胞には毛細血管が巻き付いていて、ここで酸素と二酸化炭素のガス交換がされています。
この肺胞ですが、その数は両方の肺を合わせて、なんと5億個ほどになります。
全ての肺胞を広げると、テニスコート一面分(60〜80㎡)に及ぶと言われています。私たちの体の上部にある肺に、こんな広いものが収められているなんて、まさに人体の驚異としか言いようがありません。
ちなみに、この肺胞の面積は、私たちの体表面の50倍。
そして、この肺胞に巻き付いている毛細血管をつなげ合わせると、なんと東京から大阪間(500km以上)くらいになるそうです。
呼吸とは
私たちが毎日、毎時間、常に自動的に行われている呼吸の質は、この肺胞にかかっていると言っても過言ではありません。
しかも、息を吸った後には、一瞬にして酸素を体内に取り入れなければならないのですから、こういった肺が持っている構造は、換気効率をあげるために進化してきた賜物なのです。そもそもこうして陸上で自由に生活できるのは、水中にいた頃の鰓呼吸から、この巧妙な肺呼吸のおかげなのです。
1回の呼吸で取り込む酸素の量は、成人男性で約500ml、成人女性で約400ml。
決して少なくないこの量が、瞬時にしてテニスコート一面に広がるということは、なんともすごいことですよね。
ちなみに、安静時に体が消費する酸素(VO₂)は約200〜250mL/分程度となります。
タバコの話
最近では、喫煙者は少なくなってきているようです。また、さまざまなコンプライアンスのおかげか、ドラマやCMなどでも喫煙しているシーンはかなり減っているようです。タバコの害を考えると、これはとても良い傾向ではないかと思います。
タバコの煙の中には、ニコチン、タール、一酸化炭素、シアン化水素などの有害物質をたくさん含んでいます。
一酸化炭素などは、酸素の約210倍もの結合力で、血液中のヘモグロビンと結合します。言うまでもなく、ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役目をしているわけですから、これが一酸化炭素と結合してしまっては、ヘモグロビンが酸素を運ぶ能力がすこぶる落ち、全身の各所で酸素不足が起きることになります。
例えば、1日に20本ほどタバコを吸う人は、タバコを吸っていない時でも、一酸化炭素と結びついたヘモグロビンが3〜6%あると言われてます。それだけタバコは人体に悪い影響力を及ぼしていることになります。
一酸化炭素だけではなく、タバコはその他にもさまざまな刺激性の物質を含んでいるので、活性酸素や慢性炎症を起こしやすいものです。
タバコには鎮静効果があるなど、良い面もあるようです。
しかし、肺で行われているガス交換の偉大さを感じてもらえると、タバコのとりすぎは気をつけてほしいと思います。
東洋医学で考える呼吸の意味
東洋医学・中医学でももちろん呼吸はとても大切なものだと考えています。
呼吸は単に酸素を取り込む働きにとどまらず、「気」の出入りを整える要と考えます。とくに「肺」は呼吸をつかさどり、体表や水分代謝、自律神経的なリズムにも深く関わる臓として重視されます。
肺は「気」を主り、全身へめぐらせる
東洋医学・中医学の臓腑学説には、「肺は気を主る」という言葉があります。
気というのは全身に組まなく分布されるエネルギーのようなもので、呼吸で取り入れられた清気と、飲食物から得られる穀気というものが合わさって作られます。
よって、呼吸は飲食物と並んで気の土台になります。
呼吸が浅いとか、呼吸が乱れるなどすると、胸がつかえたり、疲れやすい、気分が落ち着かないといった不調が出やすくなるのは、この観点からも説明できます。
「宣発」と「粛降」—肺のリズムが整うと体が軽い
東洋医学・中医学では、肺には、気や津液(水分)を外へ広げる働き(宣発作用)と、下へ降ろす働き(粛降作用)があるとされます。
この上下のリズムが整うと、呼吸が通りやすくなるだけでなく、皮膚の乾燥やむくみ、咳・痰、胸の違和感などの調整にもつながる、と考えます。
「肺」と「大腸」はセットで考える(表裏関係)
東洋医学では、肺と大腸は表裏(ペア)の関係にあり、呼吸の乱れがある時に、便通やお腹の張りが同時に気になるケースも少なくありません。
もちろん原因は一つではありませんが、「呼吸を整える養生」と「腸のリズム」を一緒に見直すのは、東洋医学的には理にかなっています。
今日からできる養生:まずは“吐く”を長めに
自分でできる実践としては、吐く息を少し長めにするところから始めるのが安全で続けやすい方法です。
- 鼻から吸って、口あるいは鼻でゆっくり吐く
- 吐く時間を吸う時間より少し長く(例:吸う3〜4、吐く5〜6の割合で)
- 苦しくならない範囲で、1〜3分だけ
「呼吸の量」よりも、まずは呼吸のリズムを整える意識が大切です。
※持病がある方、息苦しさが強い方、過呼吸になりやすい方は無理をせず、必要に応じて医療機関へご相談ください。
まとめ
水中から陸に上がった生物は、さまざまな困難を乗り越え乗り越え、そして進化してきました。そんなことを想像しながら、肺を労っていただけたらと思います。

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
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