〖今週のひとこと養生訓〗腐草為蛍|梅雨の恵みと夏に備える食養生

この記事の要点
イントロ|蛍が舞い、夏の気配が濃くなる頃
芒種の次候は「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」です。
これは、梅雨の湿り気を含んだ草のあたりから、蛍が舞い始める頃を表した七十二候です。昔の人は、湿った草むらの中から光が生まれるように蛍が現れる様子を見て、このような言葉にしたのでしょう。現代の感覚から見ると少し不思議な表現ですが、そこには、季節の移ろいを細やかに見つめてきた日本人の感性があります。
梅雨に入り、空気はしっとりと重くなっていきます。雨が続くと体も少し重だるくなりやすく、気分もすっきりしないことがあります。しかしこの時期は、ただ不快な季節というだけではありません。自然界には、蛍、枇杷、らっきょう、梅など、夏に向かうための恵みが次々と現れてきます。今週は、七十二候「腐草為蛍」を味わいながら、季節の食材を通して夏に備える養生を考えてみましょう。
腐草為蛍
くされたるくさほたるとなる
梅雨の湿り気を含んだ土から、蛍が羽化する頃です。
本格的な蒸し暑さが訪れる前に、自然界からの恵みも多くなる季節です。
ホタルだけでなく、枇杷、らっきょう、梅といった旬のものが次々と出てきます。
夏に備えて心身を整えやすい時期でもありますので、季節の風物詩を楽しみながら過ごしていきましょう。
腐草為蛍とは
「腐草為蛍」は、七十二候の一つで、芒種の次候にあたります。読み方は「くされたるくさほたるとなる」。古くは、湿った草が腐り、その中から蛍が生まれると考えられていました。もちろん実際には、蛍は水辺に生息し、幼虫から成虫へと育っていきます。けれども、草むらや水辺の闇の中に、ふっと小さな光が現れる様子は、昔の人にとってとても神秘的なものだったのだと思います。
七十二候は、気候や動植物の変化を細やかに表した暦です。現代では天気予報や気温の数字で季節を知ることが多くなりましたが、昔の人は、花が咲く、鳥が鳴く、虫が出る、草木が色づくといった自然の変化から、季節の深まりを感じ取っていました。「腐草為蛍」もまた、梅雨の湿り気と初夏の気配が重なる頃を、静かに教えてくれる言葉です。
梅雨の湿り気と、体の重だるさ
この時期は、雨が多く、湿度も高くなっていきます。東洋医学では、湿気が体に影響すると、重だるさ、むくみ、胃腸の重さ、頭の重さ、気分のすっきりしなさなどが出やすいと考えます。とくに梅雨時は、外の湿り気と内側の水分代謝の乱れが重なりやすく、体がいつもより重く感じられることがあります。
だからといって、むやみに体を冷やせばよいわけではありません。冷たい飲み物や冷たい食事ばかりが続くと、胃腸が冷えて、水のめぐりがかえって滞りやすくなることがあります。梅雨の養生では、湿気をためこまないこと、胃腸をいたわること、そして旬のものを上手に取り入れることが大切です。
旬の恵みをいただく
この時期には、枇杷、らっきょう、梅など、初夏らしい食材が出てきます。どれも、昔から季節の変わり目に親しまれてきたものです。枇杷は、初夏を感じさせる果物で、やさしい甘みとみずみずしさがあります。らっきょうは、独特の香りと歯ざわりがあり、食欲が落ちやすい季節の食卓にもよく合います。梅は、梅干しや梅シロップ、梅酢などに加工され、夏を迎える前の保存食としても大切にされてきました。
旬の食材は、単においしいだけではありません。その季節の気候や体の変化に寄り添う知恵が含まれています。もちろん、食材だけで体調をすべて整えられるわけではありませんが、季節に合ったものを少しずつ取り入れることは、日々の養生の入り口になります。
枇杷・らっきょう・梅の楽しみ方
枇杷は、そのままいただくだけでも初夏の香りを楽しめます。冷やしすぎず、食後やお茶の時間に少し味わうと、季節の移ろいを感じやすくなります。らっきょうは、甘酢漬けなどで食卓に少し添えると、じめじめした季節にも箸が進みやすくなります。梅は、梅干し、梅シロップ、梅酢など、家庭ごとの楽しみ方があります。暑くなる前に梅を仕込む時間そのものも、季節の養生と言えるかもしれません。
大切なのは、たくさん食べることではなく、季節を感じながら少しずつ取り入れることです。体質や体調によって合うものは変わりますので、胃腸が弱い方や冷えやすい方は、量や食べ方を調整しながら楽しむとよいでしょう。
夏に備えて、心身を整える
「腐草為蛍」の頃は、本格的な夏の一歩手前です。蒸し暑さは増していきますが、まだ体が夏の暑さに慣れきっていない時期でもあります。この時期に無理をしすぎると、夏本番に疲れが出やすくなります。睡眠を整える、冷たいものをとりすぎない、軽く体を動かす、旬のものを食卓に取り入れる。こうした小さな積み重ねが、夏を元気に過ごす土台になります。
蛍の光は、強く照らす光ではありません。暗がりの中に、静かにふわりと灯る光です。この季節の養生も、何か大きなことをする必要はありません。自然の変化に気づき、体の声を聞き、できることを少しずつ整えていく。その静かな積み重ねが、夏に向かう力になります。
まとめ|季節の風物詩とともに過ごす
芒種の次候「腐草為蛍」は、梅雨の湿り気の中に蛍の光が現れる頃を表します。本格的な蒸し暑さがやって来る前に、自然界にはさまざまな恵みが出てきます。枇杷、らっきょう、梅など、旬のものを楽しみながら、体を冷やしすぎず、胃腸をいたわり、夏に備えて心身を整えていきましょう。
季節を感じることは、それだけで養生の一つです。蛍の光や旬の食材に目を向けながら、無理なく、ゆったりと、初夏の時間を過ごしていきたいですね。
今週の養生まとめのまとめ
梅雨の湿り気が深まる頃は、体も心も少し重くなりやすい季節です。枇杷、らっきょう、梅などの旬の恵みを楽しみながら、冷やしすぎず、胃腸をいたわり、夏に向けて少しずつ整えていきましょう。
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長い人生の旅路をともにする心身を、整え過ごすために、体と心にやさしい鍼灸をお奨めします。

FAQ よくある質問と答え
腐草為蛍とは何ですか?
腐草為蛍の頃は、どのような養生が大切ですか?
梅雨時に体が重だるくなるのはなぜですか?
この時期におすすめの食材はありますか?
旬の食材はたくさん食べた方がよいですか?
夏に向けて今からできる養生はありますか?
For English Readers
“Fu-sō Hotaru to Naru” is one of the seventy-two traditional seasonal divisions in the Japanese calendar. It refers to the time when fireflies begin to appear around moist grass and wetlands during the rainy season. Although the old expression literally suggests that fireflies emerge from decaying grass, it reflects the poetic way people once observed seasonal changes in nature.
This period comes just before the full heat of summer. The air becomes humid, and many people may feel heavy, tired, or sluggish. In East Asian medicine, dampness is considered one of the factors that can disturb the body’s balance, especially digestion and fluid metabolism.
At the same time, this season brings many natural gifts. Loquats, shallots, and plums appear around this time and have long been enjoyed as seasonal foods. Eating with the seasons is a simple but meaningful way to support the body.
The key is not to overdo anything. Enjoy seasonal foods in moderation, avoid too much cold food and drink, and take care of your digestion. As the fireflies begin to glow quietly in the early summer night, we can also prepare ourselves gently for the hotter days ahead.
【おすすめの漢方薬】
この季節におすすめの漢方薬・漢方レメディ
先週から今週にかけて、皆様のお身体を拝見しますと、やはり湿気が侵入している方が多くなってきています。
特に胃腸に湿気が溜まっている方が多いようです。
寝た状態でお腹を叩いてみると、胃の辺りがぽちゃぽちゃしている方は、“胃内停水”と呼ばれるもの。こんな状態ですと、消化液のバランスが崩れていることが多く、消化不良を起こすこともあります。こういったところからお腹の風邪を引いてしまうことがありますので、お心当たりのある方は要注意です。
もちろん、鍼でもその辺りを調整して参りますが、漢方薬も使いながら養生することも時には必要となります。
当院をはじめとする、漢方に長けた漢方専門薬局などにご相談ください。
ご予算なども含めてご相談に乗りますので、お気軽にお尋ねください。
漢方薬は、個々の体質に合わせた処方が大事になります。
当院をはじめ、漢方薬に詳しい漢方薬重視の薬局・薬店・ドラッグストアでのご相談をお勧めいたします。また、漢方薬は、変化する体質や時期によって変えていくこともありますので、定期的な受診をお勧めいたします。
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源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。






