【心の置き場所】胸襟を開いてみる

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心を開くとは・・・

傾聴から始まる鍼灸施術

 私たち鍼灸師は、患者様の症状に耳を傾けるのがお仕事の一つです。

 これを具体的にみてみよう。
 最初にすることは、まずは鍼灸院に来た目的である、主な症状である主訴について聴いていくこと。そこに偏見を持たず、患者さんが発する言葉をそのまま受け止める。「ジンジン痛い」といえば、その”ジンジン”に脚色することなく、まずはそのまま受け止める。患者さんが発するその言葉が、”正解”なのだから。

 そしてさらにその主訴がどのような経過を経ているか、これまでどういった対策・治療をして来たかなどを聴いていき、さらには、普段の生活全般についても伺ってまいります。食事はどんなものか、睡眠はとれているかなど、様々な角度から生活環境を患者様の側から知らせていただきます。

 このような問診のことを、もっとひろく言うと「傾聴」ということになるのではないでしょうか。
 患者様の言葉に耳を傾ける、そしてさらには、鍼灸施術の方針に結びつくようなヒントを引き出す作業も含んでいます。

 これは簡単なようでいて、難しいもの。
 なるべく自然にできればいいのですが、馴れないときは患者様を緊張させてしまったりもします。
 特に初診のときはお互い初対面ですし、自分の心身の悪いところを伝えるわけですから、患者様にとっては恥ずかしいこともあるでしょうし、そうそう全てをいきなりひけらかすということはできないのは当然なことです。いくら相手がこれから身体を委ねる鍼灸師だからと言って、なかなかできることではありません。

 そこでとにかく、私たち鍼灸師は、ひたすら患者様の言葉に耳を傾けること、傾聴からはじまることになるのです。

どこまで腹を割るのだろうか

 鍼灸院の場合は、患者様にとってみれば、自分が抱えている辛い症状を改善してもらおうという気持ちでいらっしゃっているのですから、当然、ある程度腹を割る覚悟でいらっしゃっているはずです。しかし、だからと言って、全てを曝け出すわけでもない、そこに難しさがあるわけです。

 これは一般の生活でも同じようなことが言えるのではないでしょうか。
 相手を信頼し、相手と仲良く過ごす、そういった付き合い方ができるようになるには、ある程度までは自分をさらけ出すことも必要になります。相手を知るためには、相手からも胸を開いてもらうことで歩み寄りが生まれるものです。
 しかし、相手と仲良くなろうと思って、いきなり相手の心にずけずけ入り込んでは逆に門戸を閉ざされてしまうことも少なくありません。そこで、相手へコミュニケーションの要求を一方的にするのではなく、自分の方も少しずつでも心を開かなくてはいけないと思います。

 そこで、昔から“腹を割って話す”とか、“胸襟を開く”ということが言われているのだと思います。

 しかし、ここもとても難しいところですよね。
 そんな簡単に自分の心の底を見せるわけにはいきません。日常の生活でもそうですから、ましてや仕事の取引先など、利害関係があればなおさらです。だから、やはりここもTPOを把握しておくことは必要ですよね。

 といいながら、堂々巡りをしてしまいますが、完全に心を閉ざしていては相手とつながることはできません。距離を縮めて、仲良くなりたいと思うならば、ほど良い距離感を保ちながらも、相手の胸に飛び込む、そして自分も胸を開いておくということが必要になります。

コミュニケーションには勇気が必要

 恐らく、こういった距離感の持ち方が苦手であると、もう人とは関わりたくないと思うのではないでしょうか。
 しかし、私も五十を過ぎて思うのですが、人間は一人では生きていけないのです。
 改めて武田鉄矢扮する金八先生のセリフを引き合いに出すわけではありませんが、「人と人が支え合って生きる、だから人なんだ」ということは事実であると感じます。

 そこで、相手とコミュニケーションを取るということは、相手に胸襟を開いてもらうこと、そしてそれはほぼ同時に、自分もまた胸襟を開くということに他なりません。

 そのためには、何が必要か・・・?

 それは、勇気だと思います。
 嫌われるとか、どう思われているのだろうかと考える前に、こちらから胸襟を開く、その勇気。
 コミュニケーションは、勇気が土台になっている。
 そして、その後にやってくるのが、胸襟を開くという行動。
 
 私たち鍼灸師が患者様と接するときも、患者様にどう思われるかというよりも、先ずはこちらからコミュニケーションを取ろうとうする勇気が大事なのです。

まとめ

 以上のお話は、鍼灸師に限ったことではなく、多くの場面で当てはまることではないでしょうか。
 人と人との軋轢を減らすためには、相手への理解が必要であるとともに、自分自身のことを相手に知ってもらうことも大事になります。自分から胸襟を開いていく勇気もまたコミュニケーションには欠かせず、そしてそうしていることによって、信頼も築き上げることができるのではないかと思います。

 自分はコミュニケーションが苦手だと思っている方は、まずは自分から胸襟を開いてみてはいかがでしょうか?もちろんそれは自分をひけらかすという自己顕示欲に基づくものではなく、また、開けっぴろげになんでも開示するというものでもなく、ほどよい距離感の胸襟の開き方であることは言うまでもありませんが。

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 胸襟を開いて交流する、それが常にできれば良いのですが、そんなことばかりではありません。こんな時代ですから、相手を疑ってしまうこともしばしば・・・。かといってそれだけでもいけないし・・・。
 先行きが見えない時代において、不安感ややるせなさ、気持ちが落ち込むというのはよくあることです。それをそのままにしておくのは人生の痛手。鍼灸施術はもちろんのこと、漢方薬でも対処することができますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

瀬戸郁保

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

古医書医学の大家であった二階堂宜教先生に師事し、東洋医学・中医学の世界を追求している鍼灸師です。唯一の趣味は、写真を撮ること。カメラはFOVEON、LUMIXを使用しています。

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瀬戸郁保 Ikuyasu Seto

源保堂鍼灸院の院長をしています。

“人生を楽しく過ごすこと” 、これが東洋医学の根幹にあります。
つらい症状で人生までもが暗くならないよう、豊かな人生のためのご相談にのれたらと願っています。

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