深呼吸すると気分が落ち着くのはどうしてですか?
Question
深呼吸すると気分が落ち着くのはどうしてですか?
Answer
胸式呼吸は、肋間筋を使って胸郭を動かして行う呼吸運動で、腹式呼吸は、腹部の動きで横隔膜を使って呼吸運動することをいう。
解説
二酸化炭素の関係
人間(動物も?)は緊張すると無意識のうちに呼吸の数が増えていきます。これは自律神経が介在しているのですが、緊張する場面では呼吸が増えるますので、酸素を多く取り入れます。そして同時に、体内ではその代謝産物として二酸化炭素も増えていきます。
このときに、さらに呼吸が過剰になっていくと、二酸化炭素が余分に体外へ排出されます。こうなると脳が不安感を感じるようになり、呼吸困難を感じたりします。
このような状況になったときは、腹式呼吸で大きくゆったりと深呼吸を行うことで、二酸化炭素の量が戻り、精神的にも落ち着きを取り戻していきます。
深呼吸のエネルギー
次に考えられることは、深呼吸(腹式呼吸)は呼吸に伴うエネルギーと酸素の消費量が少ないということもあります。
ふつう我々の呼吸は、胸式呼吸を主体にしています。人と話をしているとき、電車に乗っているときなど、通常は深呼吸などはしてないですよね。
ところで、胸式呼吸と深呼吸(腹式呼吸)を比較した場合、どちらがエネルギーの消費量は多いでしょうか?
あまり可動域のない肋間筋を使って胸郭を広げる胸式呼吸に比べて、深呼吸(腹式呼吸)は柔軟な動きをする横隔膜を使用しています。そのため、深呼吸(腹式呼吸)の方が酸素の消費量が少ないということができます。
つまり、深呼吸の方が少ないエネルギーで行われるので、消費する酸素が少ないわけです。その分、胸式呼吸をしているときより、深呼吸の方が疲労しにくく、疲労からの回復も早いということになります。
自律神経との関係
イライラしているときや焦っているとき、私たちは呼吸が浅くなりがちです。
こういうときは、一度立ち止まって深呼吸をしてみます。そうすると、気持ちも穏やかになるわけですが、これは交感神経から副交感神経に切り替わっているからです。
呼吸とは、ふだんは意識しなくても(例えば寝ているときなど)自動的に行われているものですが、深呼吸しようと意識して変えられるものでもあります。
つまり呼吸とは、自律的(自分で変えられる)でもあり、自動的(勝手にやってくれる)でもあるという両面を持っていることになります。このような切り替えができることが、深呼吸すると気分が落ち着くメカニズムの一つでもあります。
まとめ
深呼吸をするから気分が落ち着くのか?
気分を落ち着かせたいから深呼吸をするのか?
現代に生きる私たちは、常にストレスにさらされている存在です。
このストレスとは、目に見えないだけに厄介ではありますが、ある程度自分でコントローすることもできるのではないでしょうか。そのためのヒントが深呼吸にあると思います。
忙しい時こそ自分を振り返る。
そして、そこで深呼吸をしてみる。
そうすることで、きっとストレスをリリースすることができます。
お風呂に入って深呼吸、
お茶を飲んで深呼吸、
空を見上げて深呼吸。
自分なりの深呼吸を見つけてみてはいかがでしょうか。

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
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