【今週のひとこと養生訓】『立春、東風解凍』

【今週のひとこと養生訓】
立春、東風解凍
ようやく春へ
二十四節気の「立春」が来て、いよいよ春に入りました。
しかし今年(2025年)は“立春寒波”とも称されるほど、ちょうどこの立春のタイミングで最大級の寒波が日本列島を覆うことになりましたので、ほんとに春が来たとは思えないかもしれません。それでも、やはりここを境に春がやってきたということになります。
七十二候
二十四節気とは、360日を二十四で割ったものなので、ひと区間が15日間になります。15日毎(約2週間)で変わっていきますので、だいたい月2回変わることになります。
この二十四節気をさらに3等分したものが、七十二侯と呼ばれるものになります。七十二候は15日間を3等分するので一候が5日間ということになります。ということで、七十二候は二十四節気よりもかなり足早に過ぎていくことになります。
七十二候には中国のものと日本のものがあります。これはどういうことかというと、中国と日本には緯度の差があるために、季節感が若干ズレるところがあるからです。七十二候は、二十四節気に比べるとやや情緒的であり、各季節の景色や情景を現したものになるため、四季が明瞭で、その四季の変化を愛する日本人にとって、このように景色が合わないことは苛立ちでしかなく、どうも許せなかったのではないでしょうか。そこで、江戸時代のあたりに日本に合った七十二候を作ったわけです。
日本式のものを作ったことが良いのか悪いのかは別として、そこには四季を愛する日本人の意識があったことは想像に難くなく、それはそれで季節の移ろいを映す美しい習慣であります。
七十二候「東風解凍」
この時期の七十二候は「東風解凍」です。
“東風”は、“こち”と読み、その意味は“春風・はるかぜ”です。
つまり、「東風解凍」とは、“春風が吹いて氷を解かしていく”という意味になります。立春寒波と呼ばれる大規模な寒波がやってきて、東北をはじめとする各所で大雪の被害を引き起こしていますが、それでも、これはただの冷たい風ではなくて、“東風”が吹いているのであります。
そんな風には思えないかもしれませんが、このブログを読んで、少しでもそんな風に思ってもらえると、不思議ではあるのですが、その冷たい風の中に“東風”を感じることができます。
暦、その中でも七十二候というものは、花鳥風月を取り上げたものが多いため、季節の移ろいを愛でるためのもののように思われますが、その一方で、季節を感じて、季節に合わせた養生をしていくツールという側面もあります。
東風を感じて、本格的な春の訪れを待ち侘びる、そんな思いでこの寒さを乗り切ってみてはいかがでしょうか。
【おすすめの漢方薬】
立春にオススメの漢方薬・漢方レメディ
『今週のひとこと養生訓』で取り上げましたように、体にとっても「東風解凍」になります。つまり、ここから少しずつ春仕様の体づくりが始まるわけです。
どういうことかと申しますと、“体が弛み始める”ということです。
体が緩み始めると、緩んだところから冷えが入りやすくなって、真冬の時よりも風邪を引きやすいということがあります。
ということで、体の外側の守りを強くする漢方薬がおすすめとなります。また、太陽膀胱系と呼ばれる最も外側の経絡が影響を受けやすいので、風の初めに使われるような風邪用の漢方薬も用意しておくことをおすすめします。
具体的な方剤の名前は、当院へご相談ください。
【著書のご紹介】
おすすめの本

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
同じカテゴリーの記事一覧