『養生訓』を読む 第16回|元気が減る人・滞る人の違いとは
今回の『養生訓』は・・・
健康を損なう原因は数多くあるように思えますが、
その方向性は2つに絞られると、貝原益軒はとても簡潔にまとめています。
それは、
「元気を減らすこと」
「元気を滞らせること」
この二つに尽きる、というのです。
つまりこれは、
「やりすぎてもいけない。」
「何もしなさすぎてもいけない。」
ということになります。
このようなことは、古今東西、同じようなことが言われているので、これが一番難しいのでしょう。
“やりすぎ”と“やらなさすぎ”、その“あいだ”をどう保つか?
このほど良いバランスは「中庸」と呼ばれたりもしますが、
そこに養生の本質、そして養生のコツがあるということになりそうですね。
この回の『養生訓』の要点
原文(巻之一・総論上・13章)
養生の害二あり。元気をへらす一なり。元気を滞らしむる二也。飲食・色慾・労動を過せば、元気やぶれてへる。飲食・安逸・睡眠を過せば、滞りてふさがる。耗(へる)と滞ると、皆元気をそこなふ。
現代語訳
養生は元気を整えていくことでありますが、逆に元気を乱れさせてしまう害には二つの方向性があります。
一つは、「元気を減らしてしまう」こと。
そしてもう一つは、「元気を滞らせてしまうこと」。
この方向性があると、元気を損ねてしまうことになります。
一つ目の「元気を減らしてしまうこと」とは、身体によくない飲食や、欲にまかせた色欲、そして労働も、過度にやりすぎると元気をかなり消耗させてしまうことになります。
二つ目の「元気を滞らせてしまうこと」とは、食べ過ぎ・飲みすぎによって胃腸を疲れさせたり、あまりにぐーたらと休みすぎたり、そして必要以上に取る睡眠のことで、これらをすることによって、元気は滞ってしまうことになります。
つまり、
減らす方向性、滞らせる方向性、どちらも元気を損なうようにはたらいてしまいます。
減らすのか?滞らせるのか?
益軒はこれまでのお話を、一度ここで整理しているわけですが、それは非常に明快です。
健康を損なう方向性(原因)は、
- 使いすぎて減らす
- 動かなさすぎて滞らせる
突き詰めていくと、このどちらかである、ということなのです。
つまり、
やりすぎても壊れるし、やらなさすぎても壊れる
ということです。
現代の生活での消耗と滞り
現代人の多くの人は、実はこの二つを同時にやってしまっています。
- 平日の日中は働きすぎて“消耗する”
- 休日は遅くまで寝てしまって動かず“滞る”
この繰り返しによって、
元気は、減りながら、そして滞るという状態になります。
東洋医学では、気は「溜まってこそ」「巡ってこそ」機能します。
👉 減れば弱る
👉 滞れば詰まる
だからこそ大切なのは、
- 適度に使う
- 適度に休む
- 流れを止めない
この三つのバランスです。
まとめ
ここはとても短い章となっていますが、養生の方向性が端的に述べられています。
私たちの体に流れる気というエネルギー。
減らし過ぎてもいけないし、滞らせてもいけない。
日常生活はその二つの方向性を、どうバランスよく制御していくかということになります。とかく現代人は流行を追いかけて忙しくしてみたり、日常生活に追われてしまったりする一方で、休日はダラダラとスマホを片手に動かな過ぎということも起きがちです。
なかなか難しいことですが、こういった視点を持つだけでも、養生はより具体的になってくるのではないでしょうか。
元気は、使いすぎても、止めすぎても壊れる。
FAQ よくある質問と答え
同じカテゴリーの記事一覧
参考図書
定本として『養生訓・和俗童子訓』(岩波文庫)を使用
『養生訓』に関連する本

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
Save Your Health for Your Future
身体と心のために
今できることを



