【今週のひとこと養生訓】「“左陽池”で小腸力アップ!!」
【今週のひとこと養生訓】
「“左陽池”で小腸力アップ!!」2021年5月皐月・第5週
この記事のポイント
大正から昭和にかけて活躍したお灸の名人、澤田健先生が愛用した“左陽池”というツボがあります。このツボは小腸の吸収力とも関係しているといわれています。夏は小腸の季節でもあり、また、これから来る梅雨や暑い夏は胃腸が疲れてきますので、“左陽池”で体調を整えていきたいですね。
お灸の名人、澤田健先生
大正から昭和にかけて活躍したお灸の名人に、澤田健先生という方がおります。
澤田先生は柔術にも長けていたようで、武術についての様々な逸話もあるようですが、治療家としてはお灸一筋。鍼もたまにはすることがあったそうですが、施術のほとんどすべてをお灸で済ませる、まさに“お灸の達人”。かの日本画壇の頂点にあった横山大観が腸チフスになったときも、澤田健先生がお灸で治したというお話もあります。
個人的な話をしてたいへん恐縮ですが、私が鍼灸学校に入り、鍼灸学校の教科書以外に最初に購入した参考書が澤田健先生の『鍼灸真髄』というものでした。これは、澤田健先生が自分で現したわけではなく、通い弟子のひとりである代田文誌先生が、澤田先生の治療室で見聞きしたことをメモしたものをまとめたものです。この本を手にした当時の私は、まだ鍼灸学校に入りたての頃で、右も左もわからないときでしたが、こんなものが普通に読めるものとして存在していることに驚きまして、即購入して何度も読み返してみたものです。
澤田健先生の施術は、澤田流太極療法と呼ばれています。
澤田健先生のお弟子さんや、その流れの鍼灸師がご存命の時代は、ひとつの流派として実践している鍼灸師も多かったようです。その流れを正統に受け継いでいる顕彰会のようなものもあったようですが、私が鍼灸学校の学生の頃はもうそういった会はすでに見当たりませんでした。
しかし、澤田流は一つの大きな流れを作ったのは確かであり、澤田流の本を頼りに実践している諸先輩方のお話を聞くことができたものであります。
左の陽池
お灸の名人である澤田健先生が必ず使っていた三つのツボがあります。
それが中脘(ちゅうかん)、百会(ひゃくえ)、そして今回ご紹介する左の陽池です。
ツボは体の真ん中にあるものを除き、左右対称に存在しています。
たとえば足三里なども、右の膝下、左の膝下にあるわけです。
一般的には、左右どちらも同じように鍼をしたりお灸をするように思われていますが、左右では微妙な違いがありますので、目的に合わせて左右を使い分ける必要があります。プロならば当然それを分かった上でどちらか一方を使い分けます。
ということで、陽池というツボも、澤田健先生曰く「左」なのであります。
陽池は、三焦経という経絡の上にあります。
三焦とは、古医書の中ではその存在に実態がないと書かれています。
しかし、臨床で考えていきますと、三焦経はリンパと関係した経絡になります。
さらに、陽池ですが、これは小腸にある乳び管や、脂質が集まる乳び層と関係すると考えられています。乳び管は脂質の吸収と関係するところで、乳び層はリンパなので、免疫の機能とも深いつながりがあります。
三焦経は、東洋医学では「原気が通るところ」と言われていますが、この原気とは、現代医学のことばでいえば、リンパであり、脂質ではないかと考えることができます。
さらに、澤田健先生は、この左陽池を使うことによって、子宮後屈が治るとも言っております。つまりは、女性特有の臓器である子宮の位置を元通りにするということであります。子宮後屈は、女性の慢性的な腰痛や、不妊症などとも関係してくるので、陽池は女性にとってはとても大切なツボということになります。
ということで、いろいろと難しいお話もしてきましたが、左陽池の効用をまとめますと以下のようになります。
先週は、小腸経、三焦経が不調の方が多かったようです。
天候が不順で、身体に湿気が入りやすいという傾向も重なっていたと思われます。
左陽池にお灸をして、この難局を乗り切っていきましょう!
陽池の効用
- 小腸の吸収力に関係する
- リンパと関係する
- 免疫力と関係する
- 女性の子宮後屈を改善する
おすすめの漢方薬・漢方レメディ
- 晶三仙
- 健胃散顆粒
- 健脾散顆粒
- 補中丸
- 木鶏丹
漢方薬・漢方レメディに関しても、何かご希望などがありましたら、お気軽にご相談くださいませ。
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感染防止対策について
残念なことに、東京都を含む地域に緊急事態宣言が延長となりました。
一部に限られていますが、それでもやはり感染防止対策をしっかりとしていかないといけません。
緊急事態宣言が発令されますと、「鍼灸院はどうなるんですか?」というご質問を受けます。
鍼灸院は医療機関であります。
そして、医療は皆様の健康のためにあります。
鍼灸院は、病院ではカバーしきれない日常生活の不調の相談にのるところです。
むしろ、このような状況になったればこそ、鍼灸や東洋医学というものが求められていると思います。
ということで、鍼療・漢方相談は、これまで通り、通常の開院日時で行っております。
また、こらまでと同じように、消毒などの感染症対策に気を配ってまいりますので、安心してご来院ください。
ご予約時間ちょうどのご来院など、患者様にもご協力を賜るところもありますが、皆様ご自身のためでもありますので、そのあたりはご賢察のほどよろしくお願いいたします。
日本鍼灸師会の感染防止対策を実施
源保堂鍼灸院が所属している日本鍼灸師会では、感染防止対策のチェックリストを作成しております。これまでも、そのチェックリストを参考にしながら感染防止対策をしてまいりましたが、この度、しっかりと実施することになりました。
これからも、皆様が安心してご来院できるように努めてまいります。
具体的な当院の感染症対策
- 院内の換気を十分に行う
- 院内の消毒を十分に行う
- 施術時の手指消毒をいつもより濃い消毒液で行う
- 3密にならないように配慮する
- 感染症に対する情報を常に収拾し、提供する
- スタッフはマスクを着用する
- 国の接触アプリを活用する
※ 院内はとても狭いため、3密にならないようにご予約時間ちょうどにいらしていただいております。皆様のご協力を賜りたいと思います。
ご予約に関して
ただいまみなさまには、ご予約の日時を2週間以内くらいのものにしていただいております。
といいますのは、医療機関といえども、政府や自治体、そしてお勤めの会社などから移動の制限をされる可能性もあり、また、ご予約日直前で発熱などがあった場合は受鍼をお断りせざるを得ないこともありますので、あまり先のご予約は予定が立ちにくいからです。
ご配慮いただきまして、ご予約をいただけたらと思います。
また、このような状況になりまして、みなさまそれぞれの生活環境なのかで時間を割いてご予約を取っている方がほとんどです。
安易なキャンセルや時間変更は、他の方のご予約の妨害行為となりますので、度重なる場合は今後の鍼療をお断りしますので、合わせてご賢察ください。
回数券に関して
回数券は、緊急事態宣言がありましても、有効期限の延長などはしておりません。
有効期限が近くなっている方は、ぜひともこの機会にこそ、鍼灸の真価を実感しにいらしていただきたいと思います。
患者様の中には、会社から外に出ないように言われていたりと、先の見通しが立たない方も多いようです。また、今回の第4波は変異株がかなりはびこってきているため、予断を許しません。
そこで、先行きがどうなるか読めず、医療機関といえどもどこまで責任を負えるかわからなため、この先長期で鍼療をお約束することが困難となっております。
そのため、誠に申し訳ございませんが、回数券の有効期限を3か月にさせていただきます。
過去二回の緊急事態宣言を振り返って熟慮した結果でございます。
今回の緊急事態宣言が急に行われたため、皆さまへのご通達が急になってしまったことをお詫び申し上げますとともに、これまで回数券があるからいらしていた方にとっては大変申し訳なく感じておりますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
尚、現在お持ちいただいている回数券に関しては、そこに記載されている有効期限で承りますので、その期限までにお越しいただけたらと思います。
感染予防のために、みなさまにはご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。