【今週のひとこと養生訓】水、めぐってる?|夏の水分代謝を整える東洋医学の養生

この記事の要点
イントロ: 体の水分は巡っている
急に暑くなると、汗をたくさんかいたり、のどが渇いたりして、「水分をとらなくては」と意識することが増えてきます。
もちろん、夏の水分補給はとても大切です。
けれども、
東洋医学では、ただ水を飲むだけでなく、体に入った水がきちんとめぐることが大事と、水の入りと出のバランスが大事だと考えます。
先週は急な暑さから水分代謝が追いつかず、膀胱に負担がかかっているように見える方も多くいらっしゃいました。
体に溜まった熱は、主に汗で解放されます。
しかしこの時期は、急に暑くなっても、まだ汗を十分にかく準備ができていない、そしてまた湿度が高くて汗が蒸発しにくいこともあり、汗本来の力を発揮できないことが多くあります。
今週は、「水、めぐってる?」を合言葉に、
夏の水分代謝を整える養生について考えてみましょう。
水、めぐってる?
夏は汗をかきやすい季節です。
汗は、体の熱を外へ逃がすための大切な働きです。
けれども、ただ汗をかけばよいというわけではありません。
体に必要な水は保ち、余分な水や熱は外へ出す。
この調整がうまくいってこそ、夏の体は健やかに保たれます。
水分補給はもちろん大切ですが、それと同じくらい大切なのが、体の中の水をめぐらせることです。
夏は「水のめぐり」が乱れやすい季節
夏は気温が高く、そのままでは体温が高くなっていきます。
そこで私たちの体は、汗によって体の熱を外へ逃がしてくれています。
東洋医学では、体の内外をめぐる水分を「津液」と呼びます。
津液は、体を潤し、皮膚や粘膜、関節、内臓といったものを潤してくれていますが、それと同時に、身体の熱の調整もしています。
私たちの意識に上がらないところで、津液は、私たちの体をさまざまな形で調整してくれています。
しかし、津液もまた微妙なバランスの下にあります。
津液は暑すぎる、湿度が高すぎる、といった外的な影響も受けます。
そして冷たい飲食物は外から入ってくるものですが、内臓を冷やしてしまいます。
このような内外の大きな差が水のめぐりを乱してしまいます。
水が足りなければ、のどの渇き、ほてり、疲れ、尿の減少などが出やすくなります。
反対に、水がうまくさばけないと、むくみ、体の重だるさ、胃の重さ、頭の重さ、尿の出にくさなどにつながることがあります。
夏の養生では、「脱水に気をつける」だけでなく、「余分な水をためこまない」ことも大切です。
膀胱と腎に負担がかかる夏
夏は大量の汗をかくため、尿の量が少なくなることがあります。
これは自然な反応でもありますが、汗をかきすぎたり、水分補給が不足したりすると、尿が濃くなり、膀胱や腎に負担がかかりやすくなります。
また、冷房で下腹部や腰まわりが冷えると、尿のトラブルや下半身の冷えを感じやすい方もいます。
こういった状況は、いつもでしたらもう少し先、つまり梅雨明け間近あたりから出てくるものですが、皆様のお身体を拝見しておりますと、今年はすでに始まっているように感じます。東洋医学では、腎は水分代謝と深く関係し、膀胱は余分な水を外へ出す働きと関わると考えますが、今からこうなってきますと、早め早めの養生が必要になります。
夏の水分代謝を整えるには、汗だけでなく尿の状態にも目を向けることが大切です。尿の回数が極端に少ない、色が濃い、排尿時に違和感がある、下腹部が重いといった状態があるときは、無理をせず早めに体を休めましょう。
水のめぐりを助ける食材
水分代謝を整えるには、飲み物だけでなく食材の選び方も大切です。
夏には、体にこもった熱を冷まし、余分な水をさばく助けになる食材をうまく取り入れるとよいでしょう。たとえば、きゅうり、とうもろこし、小豆、海藻などは、夏の水のめぐりを考えるうえで取り入れやすい食材です。
きゅうりは体の熱を冷まし、とうもろこしは胃腸にやさしく水のめぐりを助け、小豆は余分な水をさばく食材として昔から用いられてきました。海藻はミネラルを含み、夏の食卓にも取り入れやすい食材です。ただし、どの食材も「たくさん食べればよい」というものではありません。冷えやすい方、胃腸が弱い方、持病のある方は、自分の体質に合わせて量や調理法を調整することが大切です。
これらは、夏の水分代謝を考えるときに取り入れやすい食材です。
冷たいまま食べるだけでなく、スープ、味噌汁、温かいお茶、煮物などにして、胃腸に負担をかけにくい形で取り入れるのもおすすめです。特に湿度が高く、体が重だるいときは、「冷やす」だけでなく「さばく」という意識を持つと、夏の食養生がぐっと深まります。
臨床で感じる夏の水分代謝
鍼灸の臨床で見ていると、急に暑くなった時期には、体がその変化に追いつかず、水分代謝が乱れている方が増えてきます。
のどは渇くのに胃が重い、汗をかいているのに体がだるい、尿が少ない、下半身が重い、冷房で腰やお腹が冷える。
こうした状態は、単なる水分不足だけでは説明しきれないことがあります。
東洋医学では、体の水のめぐりを、胃腸、腎、膀胱、皮膚、そして全身の気の流れと合わせて見ていきます。だからこそ、夏の不調を見るときには、「水を飲んでいますか?」だけでなく、「その水はめぐっていますか?」という視点が大切になります。
まとめ|夏は水をめぐらせる季節
夏は汗をかき、体の熱を外へ逃がす季節です。
しかし、暑さや湿度、冷房、冷たい飲食、胃腸の疲れなどが重なると、水分代謝は乱れやすくなります。水分補給はもちろん大切ですが、飲んだ水が体の中でめぐり、必要なところを潤し、余分なものが汗や尿として出ていくことが大切です。
体が重い、むくむ、尿が少ない、汗をかいてもすっきりしない、胃腸が重い。
そんなときは、「水、めぐってる?」と自分に問いかけてみてください。
夏の養生は、冷やすことだけでも、飲むことだけでもありません。
水を入れ、めぐらせ、ほどよく出すこと。
水分補給は大切です。
そして同時に、飲んだ水が体をめぐるということも念頭においてみてください。
水分補給は、夏の基本です。ただし、体は水を入れるだけで整うわけではありません。入った水を受け止め、めぐらせ、必要な形で外へ出せること。その流れを守ることが、夏の養生の大切な土台になります。
冷たいものをとりすぎず、胃腸を守りながら、きゅうり、とうもろこし、小豆、海藻などを上手に取り入れて、夏の水のめぐりを整えていきましょう。
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私たちの体と心はいちばんの宝ものです。
長い人生の旅路をともにする心身を、整え過ごすために、体と心にやさしい鍼灸をお奨めします。

FAQ よくある質問と答え
夏に水分代謝が乱れやすいのはなぜですか?
東洋医学では「水のめぐり」をどう考えますか?
水分補給をしているのに体がだるいのはなぜですか?
夏におすすめの食材はありますか?
冷たい飲み物は控えたほうがよいですか?
尿が少ないときは注意が必要ですか?
夏のむくみも水分代謝と関係がありますか?
For English Readers
In East Asian medicine, summer is not only a season of heat, but also a season in which the movement of fluids becomes especially important. We often think of summer health simply as drinking enough water, but traditional medicine looks more deeply at how water enters the body, circulates, and leaves through sweat and urine.
Sweating is one of the body’s natural ways to release heat. When sweat evaporates from the skin, it helps cool the body. However, in hot and humid weather, sweat may not evaporate well, and the body can feel heavy, dull, or overheated. From an East Asian medical perspective, this can be understood as a disturbance in the movement of fluids and the accumulation of dampness.
Hydration is essential in summer, but drinking large amounts of cold water at once may burden digestion. The digestive system plays an important role in transforming food and drink into usable energy and fluids. When it becomes weakened by too much cold food or drink, water may not circulate smoothly, leading to heaviness, poor appetite, swelling, or fatigue.
Foods such as cucumber, corn, adzuki beans, seaweed, winter melon, and barley are often used in traditional dietary wisdom to support fluid metabolism during the summer. They are not magic remedies, but they can be helpful when used according to one’s constitution and condition.
The key message is simple: summer wellness is not only about drinking water. It is also about helping water move. When fluids circulate well, the body can release heat, stay hydrated, and maintain balance. If you feel heavy, swollen, overheated, or tired despite drinking water, it may be time to ask: “Is the water in my body moving well?”
【おすすめの漢方薬】
この季節におすすめの漢方薬・漢方レメディ
東洋医学では、体にめぐるものを「気・血・水」とまとめています。
とくに「水」の部分は、西洋医学にはない概念です。
“西洋医学にない概念”というのはどういうことかというと、“西洋医学には水に対しての治療方法がない”ということになります。具体的に言いますと、西洋医学では、むくみ(浮腫)というと利尿剤しか方法がありません。しかし、多くの方が感じているかと思いますが、利尿剤でむくみは取れません。
なぜかというと、尿量が増えるだけですから。
尿量が増える=めぐらせるのではありません。
尿量の操作はあくまで結果であって、原因に対しての治療ではないのです。
むくみ(浮腫)に対しては、尿量もさることながら、めぐらせる力を戻すことに治療の主眼を置く必要があります。
古来より、東洋医学はこのことに気が付いていたので、体の中の水をめぐらせるさまざまな漢方薬が開発されてきました。
また、鍼灸で使うツボも、膀胱、腎を中心に、めぐらせるためのものがあります。
どのような漢方薬・ツボがいいかは人それぞれです。
AIに聴くのもいいですけれど、こういったコツはネットには出ていませんので、通り一辺倒の答えになることが多いです。また、自己判断もあまり良くないこともあります。
当院をはじめとする、漢方に長けた漢方専門薬局などにご相談ください。
ご予算なども含めてご相談に乗りますので、お気軽にお尋ねください。
漢方薬は、個々の体質に合わせた処方が大事になります。
当院をはじめ、漢方薬に詳しい漢方薬重視の薬局・薬店・ドラッグストアでのご相談をお勧めいたします。また、漢方薬は、変化する体質や時期によって変えていくこともありますので、定期的な受診をお勧めいたします。
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源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。








