ぎっくり腰の時、本当に安静が必要なのでしょうか?
ぎっくり腰の時はどうしたらいいか?
急性腰痛、つまりぎっくり腰の時は、ほとんどの指導書には「絶対安静が大事」ということが書いてある。つまり、ぎっくり腰になったら痛みが治るまでは動かないこと、これが鉄則であるという。
でも、実際にそうなのでしょうか?
Question
ぎっくり腰(急性腰痛)の時は、安静しているのが最もよいのでしょうか?
ぎっくり腰になったら痛みの緩和とともに動く
Answer
安静が最も良いという明確な科学的根拠は十分ではありません。
大切なのは無理に動くことでも、無理に横になることでもなく、自分にとって痛みの少ない姿勢を保つことです。
症状の程度にもよりますが、可能であれば少しずつ体を動かした方が楽になる場合もあります。
ぎっくり腰になると「安静に」と言われる理由
ぎっくり腰はドイツ語で「Hexenschuss(魔女の一撃)」とも呼ばれます。
それほど突然で強烈な痛みが特徴です。
そんなぎっくり腰に襲われると、大抵の場合は整形外科に飛び込むのではないでしょうか。
そしてレントゲンを撮り、大きな異常がなければ、“とにかく安静にしていてください”というアドバイスを受けて終わることがほとんどです。
「ぎっくり腰になったら、とにかく安静に。」
そんな話を聞いたことがある方は多いかもしれません。
しかし、本当にそれがすべての人にとって最善なのでしょうか?
そのアドバイスの根拠には、一つには「仰向けに寝ることによって症状が楽になる」ということと、もう一つは「椎間板内圧が仰向けの姿勢で最も低くなる」ということが、理論上考えられているからです。
鍼灸臨床で経験すること
鍼灸院にはぎっくり腰(急性腰痛)でお越しなる方も多数おります。
それらの方々を見ていると、仰向けで寝ていることが辛いという方も大勢おります。足を伸ばしてベッドに寝ていると、どんどん痛みが増してくると訴える方もおります。こういった方は、とても仰向けに寝て絶対安静などはできません。
ということは、どうでしょうか?
必ずしも「横になること」が正解ではない
このような状況を見ますと、本当に「仰向けに寝ること」「絶対安静にいること」が正しいアドバイスと言えるでしょうか?
前障に書きました背景から、「まずは安静に」という指導が広く行われてきました。
しかし実際には、すべての患者さんに同じ対応が当てはまるわけではありません。
痛みの少ない姿勢や動き方は人によって異なり、一律にベッド上安静が最善とは言い切れないように思います。
近年では、急性腰痛に対して長期間の安静を続けるよりも、無理のない範囲で日常生活を維持する方が回復に有利であるとする考え方は、整形外科の間でも広まってきています。
大切なのは「痛みの少ない姿勢」を見つけること
ぎっくり腰(急性腰痛)になると、“横になって安静にしてなさい”と整形外科でアドバイスをもらっても、横になっていると痛みが増してくるので、横になったり、ごろごろしたり適度に動いた方のが痛みが和らぐことを経験的に感じている人も多いのではないでしょうか?
これは、「痛みの少ない姿勢」を、自分の体が探している現象なのです。
ですので、「仰向け(横)になって絶対安静にしてください」というは正しいアドバイスではなく、「痛みの少ない姿勢を探してゆっくり無理なく過ごしてください」というのが最適解ということになります。
東洋医学では「停滞」を嫌う
“停滞していると治りが遅い”というのは東洋医学的なお話になるのですが、ぎっくり腰(絶対安静)では停滞するばかりですから、やはり体もそれを避けるために動きたいという本能が働くのかもしれません(これは科学的な根拠というより、感覚的・経験的なものではあります)。
東洋医学には「通ぜざれば則ち痛む(つうぜざればすなわちいたむ)」という言葉があります。これは、気や血の巡りが滞ると痛みが生じるという考え方です。もちろん、ぎっくり腰のすべてをこの考え方だけで説明できるわけではありません。しかし、実際には横になっているよりも、少し体を動かした方が楽になる方が少なくありません。
痛みの少ない範囲で動くことが、結果として回復につながる場合もあります。
鍼灸が回復のきっかけになることも
ただし、鍼灸師として経験的に感じるのは、ただ放っておいているだけではやや時間がかかるように思います。一度でもいいので(ほんとうは2〜3回は受鍼するのがベストですが)、鍼灸を受けて、回復するスイッチを入れておくことで、痛みが緩和されるだけではなく、よりスムースに、その後の機能的回復にも良い結果が得られます。
鍼灸師としての経験では、何もしないで経過を見るよりも、早い段階で体の緊張を整えておくことで、その後の動きやすさが改善することがあります。
鍼灸もその選択肢の一つになるでしょう。
ぎっくり腰になると、不安のあまり「動いてはいけない」と考えてしまいがちです。
しかし実際には、体は人それぞれで、楽な姿勢も回復の仕方も異なります。
無理は禁物ですが、必要以上に恐れる必要もありません。
まずは体の声を聞きながら、できる範囲で動き、必要に応じて専門家の力を借りてください。
注意が必要なぎっくり腰(急性腰痛)
ただし、すべての腰痛がいわゆる「ぎっくり腰」とは限りません。
次のような場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 足のしびれや筋力低下がある
- 排尿や排便に異常がある
- 発熱を伴う
- 安静にしていても強い痛みが続く
- 転倒や外傷がきっかけで発症した
急に痛みが出てきた腰痛でも、以上のリストに挙げた腰痛のなかには椎間板ヘルニアや骨折、感染症などが隠れていることもあります。鍼灸院で対応可能なものもありますが、自分の腰の現在位置を知っておくことが大切ですので、以上のような症状が重なる時は、整形外科などの医療機関での検査をしておいてください。
ぎっくり腰になると、「とにかく安静に」という言葉を耳にすることがあります。しかし実際には、すべての人に当てはまるわけではありません(そのような科学的な根拠はないそうです)。大切なのは、自分の体がどの姿勢を楽だと感じているのかを観察することです。
そして無理のない範囲で、早めに体を動かしながら回復を待つことが、結果として早い改善につながることもあります。さらに鍼灸を受けておくと、その後の回復も早く、後遺症や癖になることもなく治っていくことがほとんどです。
ただし、痛みが強い場合や不安がある場合は、早めに整形外科でレントゲンなどの検査をしておくことをおすすめします。
よくある質問とその答え FAQ
Q. ぎっくり腰になったら横になった方が良いですか?
横になると楽な方もいますが、反対に痛みが強くなる方もいます。無理に寝続ける必要はなく、自分が最も楽な姿勢を探すことが大切です。Q. ぎっくり腰の時は歩いても大丈夫ですか?
強い痛みがない範囲であれば、短時間の歩行が楽になる場合があります。こういうときは、多少歩いた方のが良いと思います。ただし無理や過信は禁物です。痛みが出てきたなと感じたらすぐに止めてください。Q. ぎっくり腰は温めた方が良いですか?
症状によって異なります。炎症が強い初期は温めると悪化する場合もありますので注意が必要です。ただし、冷やしすぎも良くありません。冷やすのは、発症してから1〜2かを目安にすると良いでしょう。Q. 鍼灸はぎっくり腰に効果がありますか?
個人差はありますが、痛みの軽減や動作の改善を目的として鍼灸を利用される方は多くいらっしゃいます。読むとさらに深まる記事

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
同じカテゴリーの記事一覧
Save Your Health for Your Future
身体と心のために
今できることを





