【日々の食卓養生学】 かぼちゃの食卓養生学|栄養・東洋医学の効能・冬至の食文化

この記事の要点
かぼちゃの食卓養生学|栄養・東洋医学の効能・冬至の食文化
日本には、冬至にかぼちゃを食べる習慣があります。かぼちゃは夏に収穫される野菜ですが、保存性がよく、昔は冬場の貴重な栄養源でした。食べ物が乏しくなる季節に備え、保存できるものを大切にいただく。そこには、季節とともに暮らしてきた人々の知恵が息づいています。
秋が深まり、朝晩の空気が冷たくなってくると、食卓にも温かな料理が恋しくなります。そんな季節によく似合う野菜が、かぼちゃです。
ほくほくとした食感と、口の中に広がるやさしい甘み。煮物にしても、汁物にしても、かぼちゃの鮮やかな黄色があるだけで、食卓がどこか温かく感じられます。
かぼちゃの栄養|黄金色に秘められた力
かぼちゃの特徴は、何といってもβ-カロテンが豊富なことです。
β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わり、皮膚や粘膜の健康を維持する働きを持っています。鼻や喉などの粘膜は、外から侵入する異物に対する身体の防御機構の一部です。乾燥する季節には、こうした組織を健やかに保つことも大切になります。
さらに、かぼちゃにはビタミンCやビタミンE、カリウム、食物繊維なども含まれています。ビタミンCはコラーゲンの生成に関わり、ビタミンEには抗酸化作用があります。また、食物繊維は腸内環境を整え、カリウムは体内のナトリウムの排出を助けます。
かぼちゃの栄養を考えるうえで興味深いのは、日本かぼちゃと西洋かぼちゃの違いです。一般に西洋かぼちゃは、β-カロテンやビタミンCなどを多く含み、甘みが強く、ほくほくとした食感が特徴です。一方、日本かぼちゃは水分が多く、比較的あっさりとした味わいで、煮物などに向いています。
同じかぼちゃでも、品種によって味わいや栄養成分が異なるのです。
東洋医学から見たかぼちゃ|脾胃を養い、気を補う
東洋医学の食養生では、かぼちゃは一般に「甘味」「温性」の食材とされ、脾胃を養い、気を補う働きがあると考えられています。
ここでいう「脾胃」とは、単に解剖学的な脾臓や胃を指すのではなく、飲食物を受け入れ、消化吸収し、身体を養うための気血を生み出す働きに関わる概念です。
かぼちゃの自然な甘みは、東洋医学でいう「甘味」に通じます。甘味には脾胃を補い、身体を養う性質があるとされますが、これは砂糖などの甘いものを多く食べればよいという意味ではありません。穀物や野菜が持つ穏やかな甘みを、日々の食事の中で生かすことが大切です。
秋から冬へ向かう時期は、温かい煮物や汁物が食卓に増えてきます。かぼちゃをじっくり煮ると、実がやわらかくなり、甘みも引き立ちます。冷たい料理とはまた違った、温かな食事ならではのおいしさがあります。
冬至とかぼちゃ|冬を越すための食の知恵
冬至は、一年で昼の時間が最も短くなる頃です。
東洋の陰陽思想では、陰が極まり、そこから陽が生じ始める節目と捉えられてきました。冬至を境に、少しずつ昼の時間が長くなっていきます。
この日にかぼちゃを食べる習慣は、単なる縁起担ぎだけではありません。
冷蔵庫もなく、冬場に新鮮な野菜を手に入れることが難しかった時代、保存のきくかぼちゃは貴重な食材でした。夏に実ったものを大切に保存し、冬の食卓に生かす。季節を越えて食べ物の恵みを受け取る工夫だったのでしょう。
冬至にかぼちゃを食べる習慣には、栄養を補うという実際的な知恵と、これから再び陽が伸びていく季節への願いが重なっています。
かぼちゃの種も大切な食材
かぼちゃは実だけでなく、種子も食用に利用されてきました。
かぼちゃの種には、脂質やたんぱく質、マグネシウム、亜鉛などが含まれています。乾燥させて炒った種子は、香ばしいおやつとしても楽しめます。
また、伝統的には種子が虫下しなどに利用されてきた歴史もあります。ただし、こうした用途は現代の医療における駆虫治療の代わりになるものではありません。
普段は捨ててしまいがちな種にも栄養があることを知ると、かぼちゃという食材の見方が少し変わってきます。
食卓で楽しむかぼちゃ|さくらエビとにんにくの炒め物
かぼちゃといえば煮物が定番ですが、油を使った料理にもよく合います。β-カロテンは脂溶性のため、適量の油と一緒に食べることで吸収されやすくなります。
今回ご紹介するのは、かぼちゃにさくらエビとにんにくを合わせた、香ばしい炒め物です。
材料(4人分)
- かぼちゃ:中1/4個
- さくらエビ:50g
- にんにく:2片
- オリーブオイル:適量
- 塩・こしょう:少々
作り方
- かぼちゃを5mmほどの厚さに切り、オリーブオイルで素揚げするか、少なめの油で揚げ焼きにします。
- にんにくを薄くスライスし、フライパンにオリーブオイル大さじ3を入れ、にんにくとさくらエビを炒めて香りを出します。
- かぼちゃを加えてさっと炒め合わせ、塩・こしょうで味を調えます。
- さくらエビが香ばしくなり、かぼちゃに火が通ったら器に盛りつけます。
かぼちゃの甘みと、さくらエビの香ばしさ、にんにくの風味がよく合います。甘い煮物とはひと味違う、ご飯のおかずにもなる一品です。
まとめ|かぼちゃの食卓養生学
夏の太陽を浴びて育ったかぼちゃが、秋から冬の食卓に並ぶ。
今では一年を通してさまざまな野菜が手に入りますが、かぼちゃを食べるときには、昔の人々が季節を越えて食べ物を大切にしてきた暮らしにも思いを寄せたいものです。
ほくほくとしたかぼちゃを口に運ぶと、身体だけでなく、気持ちまで温かくなるようです。
季節の恵みをおいしくいただく。その積み重ねが、日々の食卓養生につながっていくのでしょう。
今日の『日々の食卓養生学』まとめ
かぼちゃは、夏の太陽の恵みを冬まで届けてくれる野菜です。栄養が豊富で保存性にも優れ、昔から人々の冬の食卓を支えてきました。東洋医学では脾胃を養い、気を補う食材としても親しまれています。冬至にかぼちゃを食べるという小さな習慣には、季節の移り変わりを見つめ、食べ物を大切にしてきた日本人の暮らしが残っています。夏に実ったものを、冬にいただく。そんな当たり前のようでいて豊かな営みを、これからも食卓に受け継いでいきたいものです。
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FAQ よくある質問と答え
かぼちゃは身体を温める食材ですか?
かぼちゃは糖尿病の人でも食べられますか?
かぼちゃの皮は食べたほうがよいですか?
日本かぼちゃと西洋かぼちゃは、どちらが栄養豊富ですか?
なぜ冬至にかぼちゃを食べるのですか?
For English Readers
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Kabocha squash, often called Japanese pumpkin, is a familiar ingredient in Japanese home cooking. With its rich orange flesh, naturally sweet flavor, and comforting texture, it is especially enjoyed in autumn and winter. Although harvested during the warmer months, kabocha can be stored for a relatively long time, making it a valuable food during the colder season.
Kabocha is rich in beta-carotene and also provides vitamins C and E, potassium, and dietary fiber. These nutrients contribute to maintaining healthy skin, supporting normal immune function, and promoting overall well-being. In traditional East Asian dietary therapy, kabocha is considered a gently warming food that nourishes the digestive system and helps replenish qi, the vital energy associated with the body’s daily activities.
In Japan, eating kabocha at the winter solstice, known as toji, is a longstanding custom. Before modern refrigeration, preserving vegetables for winter was an important part of everyday life. Kabocha became a symbol of nourishment during the coldest season, reflecting both practical wisdom and the hope for good health.
Whether simmered in a traditional Japanese broth, added to miso soup, or sautéed with garlic and dried shrimp, kabocha brings warmth and gentle sweetness to the table. Its place in Japanese food culture reminds us that eating well is not only about nutrients, but also about appreciating the seasons and the wisdom passed down through generations.


源保堂鍼灸院・副院長
瀬戸佳子 Yoshiko Seto
登録販売者・国際中医師・国際中医薬膳師
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
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