〖今週のひとこと養生訓〗肺をバックアップしよう!!|深呼吸とほどよい辛味で秋の後半を整える

この記事の要点
イントロ|秋なのに、今年は少し重たい
秋になれば、空気が乾いて、風が軽くなってくる。例年なら、そんな変化を感じやすい頃です。ところが今年は、どうも少し違います。雨が続き、湿気がなかなか抜けない。朝晩は冷えるのに、日中は蒸す日もある。身体からすると、ずいぶん忙しい秋です。東洋医学では秋は「肺」の季節とされますが、今年はその肺をうまく養い切れず、喉や鼻、呼吸、疲れやすさなどに違和感を感じている人も少なくありません。秋の後半へ入る前に、いったん肺を立て直しておきましょう。
今週のひとこと養生訓
秋は「肺」の季節
東洋医学では、秋は五行の「金」に属し、五臓では「肺」と結びつきます。ここでいう肺は、現代医学の肺臓だけを指しているわけではありません。呼吸、鼻や喉、皮膚、体表、さらに気や水分の巡りまで含めて、外界と身体をつなぐ働きとして見ています。秋になると喉が乾く、鼻が気になる、肌の感触が変わる。そうした変化を肺と結びつけて考えるのは、そのためです。
今年の秋は「乾燥だけ」ではない
秋といえば燥。乾燥。これは東洋医学では基本です。ただ、今年のように雨が多い年は、それだけではありません。湿気も残ります。乾いているようで、どこか重い。朝は冷えるのに、日中は湿っぽい。こういう年は「秋だから潤せばいい」と単純に考えにくい。身体がどこか重い、呼吸が浅い、鼻や喉がすっきりしない。そんな感覚があるなら、今の身体が季節の変化についていけていないのかもしれません。
まずは、深呼吸
肺を元気にする。そう聞くと、何か特別なことをしなければいけないように思います。でも、まずは深呼吸でいいです。ゆっくり吸って、ゆっくり吐く。肩を上げず、胸だけで急いで吸わず、少し丁寧に息をする。呼吸が浅くなっているときは、身体全体もどこか縮こまっています。逆に、ひと呼吸ゆっくり入るだけで、胸まわりが少し広がる。深呼吸そのものが万能という話ではありません。でも、秋の肺を意識するには、一番簡単で、一番忘れられやすい養生です。
肺は「宣発」と「粛降」をする
東洋医学では、肺には「宣発」と「粛降」という働きがあると考えます。宣発は、気や津液を外や上へ広げていく働き。粛降は、気を下へ降ろし、水分の流れを整える働きです。難しい言葉ですが、要するに、肺はただ息をする臓ではなく、身体の中の動きを整える役割も担っているということです。雨が続き、湿気が残るような時季は、この巡りが重たく感じられることがあります。だからこそ、呼吸をしっかり使い、身体の中に滞りを残さないことが大切です。
もう一つは「ほどよい辛味」
秋の五味は「辛」とされます。ここでいう辛味は、ただ唐辛子を大量に食べるという話ではありません。生姜、葱、紫蘇、胡椒、山椒など、身体を少し動かし、巡りを助けるような辛味です。東洋医学では、辛味には発散させる性質があると考えます。湿気が身体に残って重いときには、こうした軽い辛味を食卓へ少し取り入れることで、身体がすっと動きやすくなることがあります。
激辛にすればいいわけではない
ここは大事です。辛味が肺にいいからといって、激辛料理を食べればいいわけではありません。辛すぎるものは、身体の潤いを消耗させやすく、胃腸にも負担になります。特に、もともと乾燥しやすい人、喉が乾きやすい人、胃腸が弱い人は、辛味を強くしすぎないほうがいいでしょう。「少し身体が動くな」くらいで十分です。養生は、効かせすぎないくらいがちょうどいいことがあります。
秋の肺は、呼吸と食卓の両方から
肺を養うというと、つい特別な食材や薬を探したくなります。でも、まずは呼吸。そして毎日の食卓です。深呼吸をする。温かい汁物に生姜を少し入れる。葱を散らす。胡椒を軽く使う。そのくらいでいい。秋の後半は、急に冷える日も増えてきます。身体の中に湿気を残しすぎず、かといって乾かしすぎない。秋の身体は、その間をうまく通っていく必要があります。
まとめ|肺を少し、手助けしてやる
秋は肺の季節です。とはいえ、秋になったからといって、身体が勝手に肺を整えてくれるわけではありません。今年のように雨が多く、湿気が残る秋なら、なおさらです。まずは深呼吸。少し胸を開く。そして、食卓にはほどよい辛味を。強く効かせる必要はありません。肺が本来の働きをしやすいように、少し手助けしてやる。そのくらいがちょうどいい。秋の後半を、少し軽い身体で迎えていきましょう。
秋は肺の季節。今年は湿気も残る秋です。深呼吸とほどよい辛味で、肺の働きを少し助けてやる。やりすぎず、軽く整える。それが今週の養生です。
関連記事
FAQ よくある質問とその答え
東洋医学では、なぜ秋と肺が関係するのですか?
深呼吸をすれば肺は強くなりますか?
秋には辛いものを食べたほうがいいですか?
湿気が多いのに、秋の乾燥もあるのですか?
秋の咳や喉の不調に合う漢方薬はありますか?
咳が長く続く場合も養生で様子を見てよいですか?
For English Readers
Support the Lungs This Autumn
In traditional East Asian medicine, autumn is closely associated with the Lung system.
This does not refer only to the anatomical lungs. Traditionally, the Lung system is also connected with the nose, throat, skin, body surface, and the movement of qi and body fluids.
This year, autumn has been unusually wet. That matters.
Autumn is normally associated with dryness, but when rain and humidity continue, the body may be dealing with both dryness and lingering dampness at the same time. Some people notice that breathing feels shallow, the throat or nose feels unsettled, or the body simply feels heavier than usual.
A simple place to begin is with the breath.
Take a slow, comfortable breath in, then let it out without forcing it. Deep breathing is not a cure-all, but it can be a useful way to reconnect with the chest and with the rhythm of breathing.
Traditional dietary therapy also associates autumn with pungent flavors. Mildly pungent foods such as ginger, scallions, pepper, shiso or sansho may help support movement and dispersion in the body. The key word is mild.
Very spicy food is not automatically better. Excessive pungency may aggravate dryness or irritate sensitive digestion.
Traditional East Asian medicine often works through balance rather than intensity.
Breathe deeply. Add a little warmth and movement to your meals. Support the body without pushing it too hard.
Kampo medicine also looks beyond a single symptom. A cough or dry throat may have very different backgrounds depending on dryness, dampness, cold, heat, digestion, sleep and overall strength. Kampo formulas should therefore not be selected simply by matching one symptom with one product. If seasonal symptoms continue, professional consultation is recommended.
【おすすめの漢方薬】
この季節におすすめの漢方薬・漢方レメディ
漢方でも、「秋だから肺の漢方薬」というように一律には考えません。喉や鼻の不調があっても、乾燥が強いのか、湿気が残っているのか、冷えがあるのか、熱があるのかで見方は変わります。さらに、食欲、便通、睡眠、疲れ方、汗のかき方なども含めて身体全体を見ます。同じ「咳」「喉の違和感」「鼻がすっきりしない」という症状でも、身体の中身は人それぞれです。ここでは具体的な漢方薬名は挙げません。季節の変わり目に不調が続く、毎年この時期に同じ症状を繰り返す、養生だけではなかなか戻らないという場合は、自己判断で漢方薬を選び続けず、専門家へ相談してください。漢方薬については薬戸金堂でご相談いただけます。体質や季節、現在の身体の状態を見ながら一緒に考えていきます。
※ インスタグラムやX、noteなどを見ていますと、「〇〇のときは〇〇湯」などと一覧で明示しているものがございますが、これらはあくまで参考程度にしておくとよいでしょう。自己判断はかえって治療の時期を逸してしまうことがありますので、しかるべきところでご相談してみてください。
漢方薬は、個々の体質に合わせた処方が大事になります。
当院をはじめ、漢方薬に詳しい漢方薬重視の薬局・薬店・ドラッグストアでのご相談をお勧めいたします。また、漢方薬は、変化する体質や時期によって変えていくこともありますので、定期的な受診をお勧めいたします。
同じカテゴリーの記事一覧
心身のメンテナンス
日々の養生
想生・想身・想心
私たちの体と心はいちばんの宝ものです。
長い人生の旅路をともにする心身を、整え過ごすために、体と心にやさしい鍼灸をお奨めします。

【著書のご紹介】
おすすめの本

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。








