Q.しゃっくりはなぜ出るのですか? 横隔膜と「ヒック」の仕組み
しゃっくりってどうして出るのだろう?
Question
しゃっくりは、なぜ「ヒック」と音が出るのですか?
食事の途中、急いで飲み物を飲んだとき、あるいは何でもない場面で、急に始まるしゃっくり。しばらくすると自然におさまることが多いため、あまり深く考える機会はないかもしれません。しかし、あの「ヒック」という小さな音の背景には、呼吸を支える横隔膜と、のどにある声門の見事な連携があります。
しゃっくりは、医学的には「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれます。体が壊れたというより、ある刺激をきっかけに、呼吸に関わる反射が一瞬だけ乱れた現象と考えるとわかりやすいでしょう。
しゃっくりの原理とは?
Answer
横隔膜が反射的に収縮して急に空気を吸い込み、その直後に声門が閉じるためです。閉じかけた声門に空気が当たり、「ヒック」という独特の音になります。
しゃっくりの主役は、呼吸を支える横隔膜
横隔膜は、胸とお腹の間にある薄いドーム状の筋肉です。息を吸うときには下へ動き、胸の中を広げて肺に空気を取り込みます。私たちが意識しなくても呼吸できるのは、この横隔膜が絶えず働いているからです。
しゃっくりでは、この横隔膜が自分の意思とは関係なく、急にけいれんするように収縮します。すると、肺の中へ空気が勢いよく入り込もうとします。ここまでは、いわば「急な吸気」です。
ところが、その直後にのどの奥、声帯の間にある声門が素早く閉じます。入ってきた空気は行き場を失い、声門を震わせます。このときに出る音が、「ヒック」です。
つまり、しゃっくりは横隔膜だけの問題ではありません。胸、お腹、のど、そしてそれらをつなぐ神経の反射が、一瞬だけ同時に起こす現象なのです。

なぜ急な食事や飲み物で起こりやすいのでしょうか
しゃっくりの引き金は、いつもはっきり分かるわけではありません。ただ、食べ過ぎ、早食い、炭酸飲料、アルコール、熱いものと冷たいものを続けて口にしたときなどに起こりやすい人は少なくありません。
急いで食べたり飲んだりすると、空気も一緒に飲み込みやすくなります。胃が急にふくらむことや、食道・胃の周辺に加わる刺激が、横隔膜に関わる反射の引き金になることがあります。また、緊張、驚き、笑い、興奮など、気持ちが大きく動いたときに出ることもあります。
「しゃっくりは胃に食べ物が入ったから起こる」と単純に言い切ることはできません。しかし、食べ方、飲み方、気分の変化といった日常の小さな刺激が、呼吸の反射に触れることはありそうです。
しゃっくりが出たとき、まずはどう過ごすか
多くのしゃっくりは、数分からしばらくすると自然におさまります。慌てて何かをしようとせず、いったん食事や会話を止め、姿勢を整えてみてください。
水を少しずつ飲む、軽く息を止めてからゆっくり吐く、呼吸を落ち着かせる、といった方法は昔からよく知られています。ただし、どの人にも必ず効く方法があるわけではありません。「驚かせると止まる」といった話もありますが、確実な方法とはいえません。
無理に息を止め続けたり、苦しくなるほど水を飲んだりする必要はありません。少し時間を置き、身体の反射が落ち着くのを待つことが基本です。予防としては、食事を急がないこと、炭酸飲料やアルコールを摂りすぎないこと、熱いものと冷たいものを続けて流し込まないことなどが役に立つ場合があります。
大切なのは「痛みの少ない姿勢」を見つけること
ぎっくり腰(急性腰痛)になると、“横になって安静にしてなさい”と整形外科でアドバイスをもらっても、横になっていると痛みが増してくるので、横になったり、ごろごろしたり適度に動いた方のが痛みが和らぐことを経験的に感じている人も多いのではないでしょうか?
これは、「痛みの少ない姿勢」を、自分の体が探している現象なのです。
ですので、「仰向け(横)になって絶対安静にしてください」というは正しいアドバイスではなく、「痛みの少ない姿勢を探してゆっくり無理なく過ごしてください」というのが最適解ということになります。
東洋医学では「停滞」を嫌う
“停滞していると治りが遅い”というのは東洋医学的なお話になるのですが、ぎっくり腰(絶対安静)では停滞するばかりですから、やはり体もそれを避けるために動きたいという本能が働くのかもしれません(これは科学的な根拠というより、感覚的・経験的なものではあります)。
東洋医学には「通ぜざれば則ち痛む(つうぜざればすなわちいたむ)」という言葉があります。これは、気や血の巡りが滞ると痛みが生じるという考え方です。もちろん、ぎっくり腰のすべてをこの考え方だけで説明できるわけではありません。しかし、実際には横になっているよりも、少し体を動かした方が楽になる方が少なくありません。
痛みの少ない範囲で動くことが、結果として回復につながる場合もあります。
鍼灸が回復のきっかけになることも
ただし、鍼灸師として経験的に感じるのは、ただ放っておいているだけではやや時間がかかるように思います。一度でもいいので(ほんとうは2〜3回は受鍼するのがベストですが)、鍼灸を受けて、回復するスイッチを入れておくことで、痛みが緩和されるだけではなく、よりスムースに、その後の機能的回復にも良い結果が得られます。
鍼灸師としての経験では、何もしないで経過を見るよりも、早い段階で体の緊張を整えておくことで、その後の動きやすさが改善することがあります。
鍼灸もその選択肢の一つになるでしょう。
ぎっくり腰になると、不安のあまり「動いてはいけない」と考えてしまいがちです。
しかし実際には、体は人それぞれで、楽な姿勢も回復の仕方も異なります。
無理は禁物ですが、必要以上に恐れる必要もありません。
まずは体の声を聞きながら、できる範囲で動き、必要に応じて専門家の力を借りてください。
注意が必要なぎっくり腰(急性腰痛)
ただし、すべての腰痛がいわゆる「ぎっくり腰」とは限りません。
次のような場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 足のしびれや筋力低下がある
- 排尿や排便に異常がある
- 発熱を伴う
- 安静にしていても強い痛みが続く
- 転倒や外傷がきっかけで発症した
急に痛みが出てきた腰痛でも、以上のリストに挙げた腰痛のなかには椎間板ヘルニアや骨折、感染症などが隠れていることもあります。鍼灸院で対応可能なものもありますが、自分の腰の現在位置を知っておくことが大切ですので、以上のような症状が重なる時は、整形外科などの医療機関での検査をしておいてください。
ぎっくり腰になると、「とにかく安静に」という言葉を耳にすることがあります。しかし実際には、すべての人に当てはまるわけではありません(そのような科学的な根拠はないそうです)。大切なのは、自分の体がどの姿勢を楽だと感じているのかを観察することです。
そして無理のない範囲で、早めに体を動かしながら回復を待つことが、結果として早い改善につながることもあります。さらに鍼灸を受けておくと、その後の回復も早く、後遺症や癖になることもなく治っていくことがほとんどです。
ただし、痛みが強い場合や不安がある場合は、早めに整形外科でレントゲンなどの検査をしておくことをおすすめします。
よくある質問とその答え FAQ
Q. ぎっくり腰になったら横になった方が良いですか?
横になると楽な方もいますが、反対に痛みが強くなる方もいます。無理に寝続ける必要はなく、自分が最も楽な姿勢を探すことが大切です。Q. ぎっくり腰の時は歩いても大丈夫ですか?
強い痛みがない範囲であれば、短時間の歩行が楽になる場合があります。こういうときは、多少歩いた方のが良いと思います。ただし無理や過信は禁物です。痛みが出てきたなと感じたらすぐに止めてください。Q. ぎっくり腰は温めた方が良いですか?
症状によって異なります。炎症が強い初期は温めると悪化する場合もありますので注意が必要です。ただし、冷やしすぎも良くありません。冷やすのは、発症してから1〜2かを目安にすると良いでしょう。Q. 鍼灸はぎっくり腰に効果がありますか?
個人差はありますが、痛みの軽減や動作の改善を目的として鍼灸を利用される方は多くいらっしゃいます。読むとさらに深まる記事

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
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