〖日々の食卓養生学〗 らっきょうの養生学|梅雨から夏にかけて食卓に添えたい理由

この記事の要点
梅雨から夏の食卓に、少し添えたいもの
梅雨から夏にかけて、なんとなく食欲が落ちる、胃が重い、体がだるいと感じる方が増えてきます。湿度が高くなるこの季節は、外の空気だけでなく、体の内側にも重さや停滞感が出やすくなります。
東洋医学では、このような時期には「湿」の影響を受けやすく、胃腸の働きも鈍りやすいと考えます。そんな季節の食卓に、昔から添えられてきたものの一つが、らっきょうです。
らっきょうは、主役としてたくさん食べるものではありません。
しかし、独特の香り、辛み、甘酢漬けの酸味は、じめじめした季節の食卓に小さな風を通してくれます。今回は、梅雨から夏にかけての食養生として、らっきょうをどのように取り入れるとよいかを、東洋医学の視点から考えてみましょう。
らっきょうは、梅雨から夏の食卓に合う食材
らっきょうは、初夏になると店頭に並び、甘酢漬けや塩漬けなどにして親しまれてきた食材です。一度食べ始めると、ついついてクセになってしまうなんてこともありますよね。
暑くなる前に仕込み、少しずつ食卓に添える。
こうした季節の手仕事には、保存食としての知恵だけでなく、季節に合わせて体を整える暮らしの感覚があります。
日本は四季に恵まれた環境にあり、四季折々、その変化をたのしむことができます。
しかしその一方で、それぞれに体の仕様を換えていかないといけないという厳しさもあります。
梅雨から夏にかけては、湿気で胃腸が重くなりやすく、食事もさっぱりしたものを欲しやすくなります。そんなとき、らっきょうの香りと歯ざわり、そして甘酢漬けの酸味は、食卓のよいアクセントになります。そしてそれは単なる味のアクセントという意味だけではなく、体を切り替えるための、体が求めるアクセントでもあります。
その季節に合ったものを、体調に合わせて、ほどよく取り入れること、これが旬の食で養生する、食卓養生学のポイントになります。。
らっきょうの香りと辛み
らっきょうには、独特の香りと辛みがありますよね。
この香りは好き嫌いが分かれるところでもありますが、じめじめした季節には、食欲を呼び起こすほどよい刺激になります。
東洋医学では、香りのある食材や辛みのある食材は、滞りがちな気のめぐりを促進し、食欲を回復すると考えます。
梅雨から夏にかけて、体が重い、胃がすっきりしない、食事が進みにくいというとき、らっきょうを少し添えることで、口の中がさっぱりし、食事の流れが整いやすくなります。
ただし、香りや辛みがあるということは、刺激にもなりやすいということです。
らっきょうの甘酸っぱさに惹かれて、ついつい口が求めて食べ過ぎてしまいますが、胃腸が弱い方、胃が荒れやすい方、辛みや酸味に敏感な方は、量を控えめにして、食事の中で少し味わうくらいがよいでしょう。
らっきょうに含まれる成分
らっきょうは小さな食材ですが、成分を見るととても個性的です。
まず一つめに特徴的なのは、食物繊維を多く含むことです。
とくに水溶性食物繊維の一種であるフルクタンを含み、腸内環境や食後のめぐりを考えるうえでも注目される成分です。
次に注目するべきところは、らっきょう特有の香りや辛みの成分。これはねぎ類やにんにくにも共通する硫黄化合物が関係しています。このらっきょうの特徴的な香りが、じめじめした季節の食卓にさっぱりとした印象を与えてくれます。
さらに、らっきょうにはカリウムなどのミネラルも含まれています。
ただし、成分があるからといって、たくさん食べればよいというものではありません。実際の食卓では、一度に大量に食べる食材ではなく、箸休めとして少し添えるものです。食養生では、成分だけを見るのではなく、その食材をどの季節に、どの体質の人が、どのくらい食べるのかという視点が大切です。
甘酢漬けという季節の知恵
らっきょうといえば、甘酢漬けを思い浮かべる方も多いでしょう。
甘酢漬けは、らっきょうを保存しながら、日々の食卓に取り入れやすくする昔ながらの知恵です。暑くなる前に仕込み、夏のあいだ少しずつ食べるという流れは、季節を先取りして体を整える暮らしの工夫でもあります。甘酢漬けには、らっきょうの香りや辛みに加えて、お酢の酸味、砂糖の甘み、塩気が重なります。そのため、口の中がさっぱりし、食欲が落ちやすい時期にも食卓に変化をつけてくれます。た
お酢の酸味と東洋医学の五味の考え方
東洋医学では、食べ物の味を「酸・苦・甘・辛・鹹」の五味に分けて考えます。
それぞれの味には、体への働き方や関係しやすい臓腑があるとされ、酸味は五臓では「肝」と関係が深い味と考えられています。酸味には、外へ散りすぎるものを引き締め、消耗を抑えるような性質があるとされます。汗をかきやすく、気が外へ向かいやすい夏には、ほどよい酸味を食卓に取り入れることも、昔ながらの養生の一つです。
東洋医学では、甘酢の「甘み」は、脾臓に関係すると考えていますが、この脾臓とは、現代医学の脾臓というよりは、消化能力全体のことを指します。
そこで、甘酢の「甘」は、消化機能を助けてくれることになります。しかも、酢は発酵食品ですので、発酵食品も脾臓に関係するとこから、甘酢は消化機能を助けてくれるかっこうの食品ということになります。ただし、注意が必要なのは、砂糖は甘味の中でも強力で、多く摂りすぎるとかえって脾臓を傷めることになります。酢の酸っぱさが苦手で、砂糖多めの甘いものを好む方もおりますが、これではらっきょうの良さが台無しになります。甘酢ラッキョウを選ぶ基準、または、自分で作る基準としては、酢の酸っぱさが引き立つくらいの甘さにしてみてください。
以上のように、東洋医学の視点で見てみると、程よく作られた甘酢らっきょうは、肝や脾といった内臓にやさしい食材であることがわかります。
まとめ|らっきょうは夏前の小さな養生
らっきょうは、梅雨から夏にかけての食卓に取り入れやすい季節の食材です。
独特の香りと辛み、甘酢漬けのさっぱりとした酸味は、湿気で重くなりやすい季節の食事に、小さな風を通してくれます。
成分としては、食物繊維や硫黄化合物などの特徴があり、東洋医学的には、香り・辛み・酸味を通して、季節の食卓を整える食材として見ることができます。
でも、食事というものは、効能だけを期待して食べるものではありません。
「日々の食卓養生学」は、無理なく取り入れて、先人の知恵はしっかり取り入れるというものを目指しています。
らっきょうは、たくさん食べるよりも、少し添えることでその良さが生きる食材です。
梅雨の湿り気が深まり、夏の暑さが近づく頃、食卓にらっきょうを少し添えて、季節の変化を味わってみてはいかがでしょうか。
今日の『日々の食卓養生学』まとめ
らっきょうは、梅雨から夏にかけての食卓に少し添えたい食材です。香り、辛み、酸味が食事のアクセントになり、じめじめした季節の重さをやわらげてくれます。たくさん食べるのではなく、体調に合わせて少しずつ。季節の味を楽しむことも、日々の養生の一つです。
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長い人生の旅路をともにする心身を、整え過ごすために、体と心にやさしい鍼灸をお奨めします。

FAQ よくある質問と答え
らっきょうは、どの季節に食べるとよいですか?
東洋医学では、らっきょうをどのように考えますか?
らっきょうには、どのような成分が含まれていますか?
らっきょうの甘酢漬けは体によいですか?
酸っぱいものは肝に良いのですか?
胃腸が弱い人も、らっきょうを食べてもよいですか?
らっきょうはたくさん食べた方がよいですか?
梅雨から夏にかけて、らっきょう以外に意識したいことはありますか?
For English Readers
Rakkyo, often translated as Japanese scallion or pickled shallot, is a small aromatic vegetable commonly enjoyed in Japan, especially as a seasonal pickle. It has a distinctive fragrance, a light pungency, and a crisp texture. In many Japanese households, rakkyo pickles are prepared before the full heat of summer and eaten little by little as a side dish.
From the perspective of East Asian food therapy, the rainy season and early summer are times when humidity can make the body feel heavy and digestion may become sluggish. During this season, aromatic and slightly pungent foods are often used in small amounts to refresh the palate and support the rhythm of eating. Rakkyo is not usually eaten as a main dish. Rather, it is served as a small accent on the table.
Rakkyo also contains characteristic components such as dietary fiber, fructans, and sulfur-containing compounds, which are related to its texture, aroma, and pungency. However, food therapy is not simply about nutrients or functional ingredients. It is about understanding how a food fits the season, the person, and the condition of the body.
Pickled rakkyo is usually made with vinegar, sugar, and salt. In East Asian medicine, sour taste is traditionally associated with the Liver and is thought to have a contracting or astringent quality. This does not mean that sour foods should be eaten excessively. Rather, a moderate sour taste can be a useful part of the seasonal table, especially when the weather becomes hot and humid.
The important point is moderation. Rakkyo has a strong taste and aroma, so eating too much may irritate the stomach, especially for people with sensitive digestion. A few pieces with a meal are usually enough to enjoy its seasonal character.
Food therapy is not about finding one “superfood.” It is about observing the season, listening to the body, and choosing foods that fit the time, climate, and individual condition. In that sense, rakkyo is a small but meaningful example of Japanese seasonal wisdom.

源保堂鍼灸院・副院長
瀬戸佳子 Yoshiko Seto
登録販売者・国際中医師・国際中医薬膳師
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。
【おすすめの漢方薬】
この季節におすすめの漢方薬・漢方レメディ
先週から今週にかけて、皆様のお身体を拝見しますと、やはり湿気が侵入している方が多くなってきています。
特に胃腸に湿気が溜まっている方が多いようです。
寝た状態でお腹を叩いてみると、胃の辺りがぽちゃぽちゃしている方は、“胃内停水”と呼ばれるもの。こんな状態ですと、消化液のバランスが崩れていることが多く、消化不良を起こすこともあります。こういったところからお腹の風邪を引いてしまうことがありますので、お心当たりのある方は要注意です。
もちろん、鍼でもその辺りを調整して参りますが、漢方薬も使いながら養生することも時には必要となります。
当院をはじめとする、漢方に長けた漢方専門薬局などにご相談ください。
ご予算なども含めてご相談に乗りますので、お気軽にお尋ねください。
漢方薬は、個々の体質に合わせた処方が大事になります。
当院をはじめ、漢方薬に詳しい漢方薬重視の薬局・薬店・ドラッグストアでのご相談をお勧めいたします。また、漢方薬は、変化する体質や時期によって変えていくこともありますので、定期的な受診をお勧めいたします。
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