初夏の腰痛とは?|立夏と五行から読む、腰を痛めやすい季節の理由
この記事の要点
初出:続・鍼たま(2006年5月18日)/2026年10月 改訂
初夏の腰痛とは?
五月に入ると、腰痛、ぎっくり腰、腰の違和感など、腰の症状を訴える方が増えてきます。鍼灸の適応は腰痛や膝痛などの運動器疾患だけと思われがちなので、そうした相談が多くなる事情はあります。それを差し引いても、この時期は腰の訴えが増える、というのが臨床での実感です。今回は、これを「季節の腰痛」として、東洋医学の背景を説明します。
季節は「立夏」から夏に入る
まず暦のうえでは、五月五日か六日頃に立夏を迎え、季節は夏に入ります。これは、寒い、暑いという実際の気象とは別に、「立夏を過ぎると季節は夏に入る」という約束事です。そして夏は、五行で分けると「火」に配当されます。
腰は「水」に配当される
次に腰です。体の部位を五行に分けると、腰は「水」になります。『素問』には「腰は腎の府」という言葉があります。腎に配当される水が、腰という場所に宿る、という見方です。
火の季節に、水は力を抑えられる
五行の関係では、水は火を制御するはたらきを持ちます(水剋火)。ところが、夏は火の性質が大きくなる季節です。火が盛んなこの季節の中では、さすがの水もおとなしくならざるを得ません。
そうなると、水が配当されている腰にも、力が届きにくくなります。季節のめぐりによって、腰が少し弱くなる時期に入る、ということです。
日本の初夏は、湿気が加わる
さらに日本では、この時期から湿気が増えていきます。季節のめぐりで腰が弱っているところへ、湿気という負担も加わるのです。腰を壊しやすい条件が重なります。
当院の考え方|鍼は薬ではない
治療についてですが、以上の理由から、当院ではこの季節、腰に鍼をする場面を控えます。水に配当される腰のツボは、火が支配する季節の中で、力を失っていると考えるからです。
鍼の先に、薬が塗ってあるわけではありません。患部に刺したから良くなる、というものでもありません。鍼の作用は、元気のあるところの余った元気を、症状が出ている元気のない患部へ送ってあげられるようにすることです。特に、季節の変化で起きた不調では、この点に気をつけなくてはなりません。
腰痛で他の施術を受けている方は、季節の影響について、ご自身の先生に相談してみてください。
「腰」という字
腰は「体(月=にくづき)の要」と書きます。体の要だからこそ、腰が弱ると、全身の動きに響きます。
今日からの養生
まとめ
初夏に腰を痛めやすいのは、季節のめぐりで腰の力が抑えられ、そこに湿気が加わるためです。体の要である腰を守るために、この時期はいつもより丁寧に動いてください。
FAQ よくある質問と答え
Why Lower Back Pain Increases in Early Summer: A Five-Elements View
In East Asian medicine, the season changes by the calendar, not only by the weather. Around May 5 or 6, Rikka (the beginning of summer) arrives, and the season is considered summer from that day on. Summer corresponds to the element of fire, while the lower back corresponds to water. Normally, water controls fire. But in summer, fire is at its height, and water is held back. As a result, the lower back is thought to lose some of its strength.
In Japan, humidity also begins to rise at this time of year. The lower back, already weakened by the seasonal cycle, takes on an additional burden from the dampness. For this reason, many people find their backs more vulnerable in early summer.
At Genhodo Acupuncture Clinic, we regard acupuncture as a way of sending surplus energy from a strong area to a weak one, not as a treatment applied directly to the painful spot. For this reason, we refrain from needling the lower back during this season. The character for the lower back, 腰, combines the character for “flesh” with the character for “essential,” which reminds us that the back is the key to the whole body. Lift heavy objects carefully, avoid sudden movements, and keep your lower back warm. If you have numbness, loss of strength, or fever with back pain, please see a medical doctor.
関連記事
同じカテゴリーの記事一覧
Save Your Health for Your Future
身体と心のために
今できることを

源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。





