〖今週のひとこと養生訓〗陰陽平衡のはずだけど…|秋分の揺らぎは「朝」から整える

この記事の要点
イントロ | 秋分なんだから、整ってくれてもいいのに
秋分を迎えました。
この秋分の時期は、昼と夜の長さがほぼ釣り合う頃です。
東洋医学の陰陽で見ても、一年の中で陰と陽がひとつの平衡点を迎える節目。
それなら私たちの身体も、もう少し落ち着いてくれてよさそうなものですよね。
ところが実際は、そうでもない。
朝は涼しいのに昼は暑い・・・。
雨が降ったと思えば急に晴れる・・・。
昨日と今日で着るものまで変わる・・・。
今年はとくに、季節が素直に進んでくれません。眠りが浅くなったり、朝起きにくかったり、なんとなく気持ちまで落ち着かなかったり。こんなとき、夜ばかり何とかしようとするより、まず朝を一度立て直してみる。そこから始まる養生、今週はそんな話です。
今週のひとこと養生訓
秋分は「陰陽平衡」の節目
秋分は二十四節気の一つ。
日本の場合は休日になりますよね。
秋分は、春分とならんで、昼と夜の長さが同じになる頃で、ここから先は少しずつ夜の時間が長くなっていきます。夏至へ向かって盛んになった陽はすでに下り坂に入り、逆に陰が力を増してきました。その二つが一度交わるような場所が秋分です。
ただし、ここでいう「平衡」は、ぴたりと半分ずつに固定されるという意味ではありません。陰も陽も常に動いていますから、平衡になるのはあくまで一瞬のこと。陰陽は、その動きの中で釣り合っている。つまりこれが、東洋医学の身体感につながっていくわけです。
ですから・・・
「秋分だから身体も安定するはずなのに、おかしい」と考え込まないでくださいね。
むしろここは大きな切り替わりの途中です。
その途中を感じることが、季節の変わり目の養生になります。
実際の秋は、意外と落ち着かない
秋というと、静かな季節を思い浮かべます。日本の童謡などにも、そのような光景が謳われているものが多いですよね。
けれども秋分の頃の天気は、けっこう忙しいものです。
- 朝夕は冷えてくる
- でも日中はまだ汗ばむ
- 空気が乾いてきた
- と思えば、雨で湿気が戻る
- 台風の到来などで気圧も上下する
身体はそのたびに、体温を保ったり、汗を調節したりしています。
私たちの感覚は、「今日は涼しいな」くらいで済ませていますが、実際には、身体の側では細かな調整がずっと続いているわけです。
特に今年は、関東地方は雨が一ヶ月以上続いておりますので、対応が難しいですね。
関西の鍼灸師の先生とも交流しているのですが、関西以西は暑さが続いているようで、地域差が激しいようです。
以上のような秋ですから、この時期に睡眠や食欲、気分の波が少し崩れる人がいても、不思議ではありません。
夜を直す前に、朝を見てみる
“眠れない”、“夜中に目が覚める”、“朝すっきりしない”
そんな症状を感じる方はおりませんか?
そんなときは、どうしても夜のことばかり気になります。早く寝なくては。スマートフォンをやめなくては。お風呂に入って……。
もちろん、それも大切です。
でも、夜の眠りは夜だけでつくられているわけではありません。
一日は朝から始まっています。
この時期に限りませんが、生活のリズムが崩れていると感じたら、まず「何時に寝るか」よりも、「何時に朝を始めるか」を決めてみる。こちらのほうが案外やりやすいものです。
起きる時間に一本、杭を打つ
全部を整えようとすると疲れます。
だから、まず一つだけ。
起きる時間を大きくずらさない。
休日だから昼まで眠る。眠れなかったから翌日はずっと寝ている。それを繰り返していると、一日の始まりそのものが毎日動いてしまいます。
多少眠い日があっても、朝はいったん起きる。
完璧に同じ時刻でなくていい。大きく崩さないことが大事。
秋の天候が揺れているなら、暮らしの中に一つくらい動かないものを置いておく。
その役を、今週は「朝」にしてみましょう。
朝の光を入れる
起きたらカーテンを開ける。
かなり地味です。でも、まずこれです。
人の身体には体内時計があり、朝の光は一日の始まりを知らせる大きな手がかりになります。晴れていなくても構いません。曇っている朝にも、夜とは違う明るさがあります。そして、おそらく光だけではなく、太陽から降り注ぐ太陽のエネルギー(電磁波)も感じているでしょう。
昔の人は、今のように夜遅くまで明るい部屋で暮らしていませんでした。日が昇れば起き、日が沈めば少しずつ休む方向へ向かう。当たり前だったものが、今は少し難しくなっています。
だからせめて、朝が来たら身体にも「朝ですよ」と知らせてやる。
そのくらいでいいと思います。
深く考えず、カーテンを開きましょう。
開けば体が感じてくれます、あなたの体が感じてくれるのです。
朝ごはんを食べる
今回の手書きにも、「朝食を食べる」と書きました。
ここも、妙に健康法にしたくありません。
○○を食べれば自律神経が整う、という話ではないです。
もっと原始的なお話です。
私たちはこの地球で生きて、地球のサイクルで生きている、それを朝から感じるということです。
無理に食べなくてもいいとはいうものの・・・
朝になったら何かを口にしてみましょう。
食欲のある人なら、きちんと食べましょう。
胃腸がまだ重ければ、その人が受けつけるものを少しでもいい。
食べることで身体にも一日の始まりが入ってきます。
- 起きる
- 光を浴びる
- 食べる
そんな当たり前のことが、季節の変わり目には案外効いてきます。
できれば、朝に少し歩く
そして余裕があれば、朝散歩。
これはおすすめしたい習慣です。
別に何千歩も歩きなさいとか、何分歩きなさいとか、そういうことではありません。
体には個性がありますから、その個性に従って、つまり、自分が気持ちがいいとか、これくらいなら今日は歩けそうだなとか、雨は嫌いだから今日は短めでいいかとか、そいうことです。近所を一周でも構いません。もちろん、自分に重い負荷をかけるのが好きなら、それはそれでいいのです。
誰か他の競争ではありません、誰かの真似ではありません、自分の体調や心との対話です。
外に出ましょう。
外を歩きましょう。
外へ出れば自然に光が入ります。
身体も少し動く。そして何より、今日の季節が分かります。
昨日より涼しい。
少し風が乾いている。
まだ日差しには夏が残っている。
スマートフォンを見て確認しなくても、外に出ればわかりますよ、今日の気温。
“見る”気温は、ただの数値です。
でも、必要なのは“感じる”気温です。
数値を見るだけでは分からないものが、“感じる”こと、それが体であり、心なのです。
東洋医学というと難しい理論が並びますが、養生の始まりは案外こういうところです。
専門家のインスタグラムは難しかったり、上から目線で言ってますよね。
でも、そんなに難しくないんです。
今日の空気を身体で知る。
実はこれだけです。
「自律神経を整えなきゃ」と焦らなくていい
最近は「自律神経を整える」という言葉をよく聞きます。
ただ、自律神経は「よし、整えよう!」と思って直接動かせるものではありません。
「よし、今から胃を動かすぞ!」と言っても、動かないですよね。
だから、「乱れている、何とかしなきゃ」とあまり焦らないほうがいい。
焦れば焦るほど逆ぎゃくに行くのが人生・・・。
“焦るこじきは貰いが少ない”・・・なんてことわざもありますよね。
- 朝起きる。
- 光を浴びる。
- 食べる。
- 少し身体を動かす。
- 夜になったら眠る。
自律神経を直接操作することはできません。ヨガの達人になるとそう言ったこともできるようですけど、そこまでする必要はありません。その方が不自然なのですしね。
身体がリズムを取り戻しやすい暮らしをつくっておく。
このほうが自然です。
まとめ|季節が揺れるなら、朝を一本決めておく
秋分は、陰と陽が釣り合う節目です。
でも、人の身体まで秋分の日に合わせて勝手に整うわけではありません。
また、暦は生活の変化を知る羅針盤の役目をしますが、相手は自然です。必ずしも暦通りとはいきませんので、その都度その都度微調整が必要です。
この微調整こそが、養生ということになるでしょうか。
むしろ今は、暑さと涼しさが行ったり来たりする時季です。身体も、その間を行ったり来たりしています。
だから全部を整えようとしなくていいと思います。
まず朝だけ。
- 起きる時間を決める
- カーテンを開ける
- 朝ごはんを食べる
- できれば少し歩く
季節が動くなら、自分の暮らしも動かす。
養生は固定的ではないのです。
動くものには、動いて対応するしなやかさが必要です。
今週は、それを「朝」にしてみましょう。
秋分は陰陽平衡の節目。でも、身体まで自動的に整うわけではありません。季節が揺れるときほど、朝の時間を決める。起きる、光を浴びる、食べる、少し歩く。まずそこからです。
心身のメンテナンス
日々の養生
想生・想身・想心
私たちの体と心はいちばんの宝ものです。
長い人生の旅路をともにする心身を、整え過ごすために、体と心にやさしい鍼灸をお奨めします。

FAQ よくある質問とその答え
秋分になると自律神経が乱れやすくなるのですか?
生活リズムを整えるなら、早寝と早起きのどちらが大切ですか?
朝散歩はどのくらい歩けばいいですか?
朝食は必ず食べたほうがいいですか?
秋の不調に合う漢方薬はありますか?
眠れない状態が続いている場合も、朝を整えればよいですか?
For English Readers
The Autumn Equinox Is Balanced — So Why Don’t We Feel Balanced?
The Autumn Equinox marks a point in the year when day and night are nearly equal. In the traditional language of East Asian medicine, it can also be seen as a seasonal meeting point between yin and yang.
Yet our bodies do not automatically become balanced just because the calendar reaches the equinox.
Early autumn can be surprisingly unsettled. Mornings may feel cool, afternoons may still be hot, and the weather can change quickly. Sleep, appetite and daily rhythms may feel less steady during this transition.
When that happens, it is easy to focus only on the night: trying to go to bed earlier, worrying about sleep, or looking for another way to “fix” the nervous system.
Sometimes it is better to begin with the morning.
Wake at roughly the same time. Let natural light into the room. Eat something appropriate for your appetite and condition. If possible, take a short walk outside.
The goal is not to force the body into perfect balance. Yin and yang are always moving, and so is the season.
When the weather is unsettled, it can help to give your daily life one steady starting point.
Let that starting point be the morning.
Kampo medicine also looks beyond a single symptom. Two people who both have poor sleep or morning fatigue may have very different underlying patterns depending on temperature sensitivity, digestion, appetite, energy and other signs. For this reason, Kampo formulas should not be selected simply by matching a symptom with a product. If seasonal symptoms continue, professional consultation is recommended.
【おすすめの漢方薬】
この季節におすすめの漢方薬・漢方レメディ
漢方でも、「自律神経が乱れているからこの漢方薬」と一つに決めることはありません。
眠れない人でも、身体にまだ暑さが残っている人もいれば、すでに朝晩の冷えが入っている人もいます。夏の疲れが抜けていない人、胃腸が弱って食欲が戻らない人、気持ちの緊張が続いている人もいます。
同じ「眠れない」「朝がつらい」という症状でも、身体の中身は同じではありません。
漢方では、冷えや熱、食欲、睡眠、便通、汗のかき方なども見ながら、その人の今の状態を考えます。ここで具体的な漢方薬名を並べても、あまり意味はありません。
季節の変わり目に毎年調子を崩す、生活を整えてもなかなか戻らない、睡眠や食欲の不調が続く。そんなときは、自己判断で漢方薬を選び続けるより、一度きちんとお近くの漢方薬局や漢方に詳しい鍼灸院にて身体をみてもらってください。
※ インスタグラムやX、noteなどを見ていますと、「〇〇のときは〇〇湯」などと一覧で明示しているものがございますが、これらはあくまで参考程度にしておくとよいでしょう。自己判断はかえって治療の時期を逸してしまうことがありますので、しかるべきところでご相談してみてください。
漢方薬は、個々の体質に合わせた処方が大事になります。
当院をはじめ、漢方薬に詳しい漢方薬重視の薬局・薬店・ドラッグストアでのご相談をお勧めいたします。また、漢方薬は、変化する体質や時期によって変えていくこともありますので、定期的な受診をお勧めいたします。
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源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。







