ホームランよりヒットの積み重ね

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鍼灸はヒット、ヒットの積み重ね

ホームランは野球の華

 年初から通訳・水原一平氏の件で騒がしかったドジャース・大谷翔平選手。
 こういった話題があると、普通ならプレッシャーやストレスでなかなか活躍することができないと思いますが、なかなかどうして、ここまでしっかりと結果を残しています。今年(2024年)は肘の回復のために今のところ二刀流は封印していてバッターに専念でありますが、昨年のホームランキングということもあって、今年もホームランの量産に期待が膨らみます。これまで大リーグでの日本人ホームラン通算記録は松井秀喜さんのものでしたが、そこは無事にクリア。ここからどれだけホームランを量産していくか、とても楽しみなところでありますね。

 ホームランは一発逆転の面白みがあり、また、スタンドにグイーンと伸びていく様は爽快であります。特に大谷翔平選手のホームランは飛距離もスピードも規格外ですから、連日ニュースになるのもうなずけますね。
 ホームランは野球という競技において、まさに華。そしてチームにとっても、力強いホームランバッターがいることは、このうえなく有難いことで、勝利に必須の条件の一つになります。

だったらホームランを狙えばいい?

 しかし、実際の野球でも、ホームランは簡単に出るものではありません。一試合で両チームからホームランが出ないことも少なくありません。そもそも、いつもいつもホームランが出るわけではないからこそ、それだけホームランが貴重なものになるわけです。
 最近は大谷翔平選手はじめ、規格外の選手も多くおりますので、一概には言えませんが、ホームランバッターと言えば大振りになるため、当たれば大当たりでホームラン、当たらなければ三振の山・・・、なんてことも多いわけです。かつて読売巨人軍が、各チームの四番打者を集めてホームランを量産しようと試みましたが、そう簡単にはいかず、チームも崩壊してしまったことを覚えている方も多いかもしれませんが、これはその例の典型ではないでしょうか。

鍼灸施術の真髄はヒットの積み重ね

 私自身、毎回毎回、鍼灸施術のたびに大きなホームランを狙いたいです。つまり、一回の施術でホームラン級の効果を出したいと思っています。もちろん患者様にとっても、その方がいいかもしれません。一回の鍼灸施術で劇的に治ってしまう・・・そんなことがあったらどんなにいいだろうか・・・。

 しかし・・・

 鍼灸においてもホームランを打つのはそう簡単ではありません。

 患者様の中には、鍼灸のことをまるで魔法のように思っている方もおりまして、そういった方は、鍼灸=ホームランと思っているようです。ひどい肩こり、ひどい腰痛、そういった深い症状が、一発の鍼灸で逆転ホームラン・・・。そんな感じで鍼灸を捉えている方もおりますので、一回の施術で完治しなかったりすると、「なんだ、鍼は効かないね」とか、「ここの鍼は弱いね」などという感想を持たれることもあります。

 しかし、頑固な症状、長く患ってきた症状が、一発の鍼灸でホームランを打って逆転サヨナラなんてことはありません。

 鍼灸は、とにかくヒット、ヒット、ヒットなのです。
 ヒット、ヒットを積み重ねて、体調が回復していく、そしてその積み重ねで自己治癒力が増していって、回数を重ねていく過程で、2塁打、たまに3塁打、そしてときどきホームランが出るようになっていくものなのです。
 いきなりホームラン(劇的な施術効果)を狙っても、いつも三振(治療効果なし)ばかりでは、いっこうに点に結びつきません(身体は治りません)。

 それよりも、とにかくヒット(着実に身体を回復させていく・少しずつ前進させる)を重ねていく、地道に塁に出る、そしてまずは一点(身体が治っていく素地を作る)を入れていく、こういった着実性が鍼灸の真髄なわけです。患者様の症状があまりに強く、もう、ここは送りバントをするしかないな、ということもあります。一見すると一打席を無駄にしているような作戦も、実は、着実に一点を入れる(身体を回復させる)ためであったりもします。

ヒットの積み重ねをするためには?

 それでは、ヒットを積み重ねていくためには、鍼灸施術をどれくらいの間隔で受けたらいいでしょうか?

 これは、それぞれの症状や、患者様の体力などにもよりますが、概ね1〜2週間に1回は診ておきたいものです。

 鍼灸=ホームランと思っている方にとっては、えっ?と思うかもしれません。「なんだ、そんなに効果がないものなんだ」と思う方もいるでしょう。

 しかし、鍼灸はホームランではありません。

 鍼灸施術の効果が持続するのは、長くても1週間です。重い病気、深い症状になればなるほど、その効果の持続は短くなります。
 平均すると、鍼灸の施術効果は3〜5日間なのです。

 なので、着実にヒットを重ねるためには、1〜2週間以内に1回するくらいの施術が基本になります。
 1ヶ月に一度や、数ヶ月に一回の鍼灸施術では、その時の疲れをとるくらいでの効果にとどまってしまいます。つまり、施術と施術の間があまりに空いてしまうと、前の鍼灸施術の効果がゼロになっているため、効果を積み重ねることができないわけです。たとえ一回の施術でホームランを打てたとしても、ソロホームランなのでそれほど点数(治療効果)には結びつきません。
 もちろん、ぎっくり腰や寝違いのように、昨日今日やってしまった症状であれば、まだこじらせていないので、1、2回の鍼灸施術でも相当な効果がありますので、治ることも多いです。こういった症例も多く、このような劇的な面だけを取り上げられることも多いので、鍼灸=ホームランと思われる人も多いのではないかと思います。が、こういったのは例外であります。

 鍼灸施術は、とにかくヒットを積み重ねていく、それしかありません。

 もし、何か病名がつくような症状や、慢性的な長い症状の場合は、1〜2週間に1回の受鍼をおすすめしております。昨日、今日やってしまったぎっくり腰や寝違いなどは、1〜3回くらいを続けて受鍼してください。もし重い症状もなく、日頃の疲れを癒したいくらいでしたら、月1くらいでもお越しください。

 もし、予算の関係で一年にかけられる金額が決まっている場合は、1ヶ月に一回とか、2ヶ月に一回とか定期的にお越しになるよりは、何かあった時のために普段は通わずに、何か症状が起きた時に週1、2週に一回など、まとめて来られるようにしておくのも良いかもしれません。

 患者さんそれぞれによって効果の出方、頻度は異なりますが、腰痛に関してのおおよその目安を下の表に記しておきます。源保堂鍼灸院での受鍼だけではなく、他の鍼灸院での受鍼の参考になさってください。

症状頻度・回数の目安
ぎっくり腰・寝違いなど、急性期の痛み1~3回くらいを続けて受鍼。昨日今日やってしまったようなぎっくり腰や寝違いは、数回でよくなることがほとんどですが、その数回を、間をあまり開けずにお越しいただけると良いです。
慢性的な腰痛・坐骨神経痛など長期に渡って固着してしまった痛み週1回、2週に1回くらいの頻度で、まずは5~6回を目安にして受鍼することをお薦めいたします。どんなものでも、5~6回で何かしらの改善の兆しが出てきますが、それで改善しない場合はかなり重いものになるとお考え下さい。

漢方薬・漢方レメディ・お灸・ツボ相談室

 とは言え、鍼灸院の多くは自費治療になりますので、そう簡単に通うことが難しいとは思います。そこで、源保堂鍼灸院では、自宅でのお灸や漢方薬をお薦めしています。

 受鍼と受鍼の間を穴埋めするために、漢方薬や漢方レメディをご利用になることをお勧めしています。

 また、お越しいただいてる患者様には、お灸をする場所をお伝えしています。もちろん、実際の鍼灸施術を受けるのに比べたら効果は下がりますが、やったほうが良いですから、やりましょう。

 さらに、遠方で源保堂鍼灸院へ通えない方などには、「ツボ相談室」というものがあります。当院の選りすぐりのスタッフ鍼灸師が、相談者に合ったツボをお伝えするものです。有料とはなりますが、ネットで調べてもしっくりこない場合は、プロにお任せください。あなたにとって必要なツボを選定いたします。

【著書のご紹介】
当院薬膳部の瀬戸佳子の著書をご紹介

 また、ヒットを打つために最も重要なのは日頃の食事にあります。
 食事は毎日摂るものですから、自分の身体に合ったものを選択したいですよね。

 源保堂鍼灸院の薬膳部長である瀬戸佳子の著書もご参考になさってくださいね。
 きっと、あなたの生活で毎日ヒットを積み重ねることができるでしょう。

この記事を書いた人

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

瀬戸郁保

古医書医学の大家であった二階堂宜教先生に師事し、東洋医学・中医学の世界を追求している鍼灸師です。唯一の趣味は、写真を撮ること。カメラはFOVEON、LUMIXを使用しています。

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TEL. 03-3401-8125
場所 渋谷区神宮前4-17-3 アークアトリウム101
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