〖今週のひとこと養生訓〗白露に入ります!|朝露に秋を知る、季節の変わり目の養生

この記事の要点
イントロ | 朝の空気に、秋が混じる
暦が秋になったからといって、景色が一夜にして変わるわけではありません。昼間にはまだ強い日差しが残り、歩けば汗ばむ日もあります。それでも朝、外へ出たときに、ふと空気の違いに気づくことがあります。昨日までとは少し違う冷たさ。草の葉に宿った小さな露。夏の盛りには聞こえなかった虫の声。季節というものは、大きな音を立ててやって来るのではなく、こうした小さな変化を一つずつ置いていくものなのでしょう。9月7日から、二十四節気では「白露」に入ります。
今週のひとこと養生訓
白露|露に姿を現す秋
「白露」とは、草木に降りた露が白く輝いて見える頃を表した美しい名前です。夜の気温が下がるようになると、空気中の水蒸気が冷やされ、草木の葉などに露を結びます。朝日に照らされたその露が、白く光って見える。そこに昔の人は、秋が深まり始めたことを見ていたのでしょう。現代では気温を数字で知ることができます。明日の最低気温も、時間ごとの湿度も、スマートフォンを開けばすぐに分かります。しかし、草に露が降りたこと、朝の風が少し冷たくなったこと、日の傾きが早くなったことから季節を知る感覚も、養生には大切です。身体もまた、数字だけでは季節を生きていないからです。
「白」は、秋を表す色でもある
白露の「白」は、露の色だけを意味するものではありません。東洋医学の陰陽五行では、秋は「金」に属し、その色は「白」、臓では「肺」と結びつけられます。秋を表す言葉に「白秋」があるのも、こうした古い季節観と無縁ではありません。春の青、夏の朱、秋の白、冬の玄。古人は季節を気温だけで区切るのではなく、色や方角、臓腑、自然界の動きまで重ねながら、一年の巡りを眺めてきました。白露という二文字の中にも、そんな秋の世界が静かに広がっています。
白露の身体は、夏と秋のあいだにいる
白露を迎えたからといって、身体まで一斉に秋になるわけではありません。昼間には夏の熱が残り、朝夕には秋の涼しさが入り込む。一日の中に夏と秋が同居しているのが、この頃の難しさです。昼の暑さに合わせて薄着をしていると、夕方の風が思いのほか冷たく感じることがあります。反対に、朝が涼しかったからと厚着をすれば、日中には汗をかく。身体はそのたびに体温を調節しなければなりません。ですから白露の養生は、「冷やさない」「温める」と一方向に決めてしまうより、変化に合わせることが肝心です。羽織るものを一枚用意する。冷房を真夏の設定のままにしない。冷たい飲食物ばかりを続けない。どれも小さなことですが、季節の変わり目には、こうした小さな調整が身体を助けます。
秋の入口で、肺をいたわる
東洋医学では、秋は「肺」の季節とされます。ここでいう肺は、現代医学の肺臓だけを指すものではなく、呼吸や鼻、皮膚、体表など、身体と外界との接点に関わる広い働きとして捉えます。白露の頃からは、涼しさとともに少しずつ「乾き」も意識するようになります。朝起きたときに喉が乾く。鼻の奥に違和感がある。肌の感触が真夏とは違う。そんな変化があれば、季節が一歩進んだ徴かもしれません。先週は「秋バテと秋風邪」の記事で、肺と衛気について触れました。今回はその理論を繰り返しません。大切なのは、身体に現れた小さな秋を見落とさないことです。
白露から始まる「燥」の養生
そして、ここから先の秋を考えるうえで覚えておきたいのが「燥」です。秋が深まるにつれて、自然界の空気は乾く方向へ向かいます。ただし、秋の乾燥はいつも同じではありません。初秋には夏の熱を残した乾燥があり、季節が進めば冷たさを帯びた乾燥へと変わっていきます。東洋医学では、こうした違いを「温燥」と「涼燥」という言葉で見分けてきました。同じ秋でも、九月の風と晩秋の風は違う。 その違いを感じ取ることから、秋の養生はもう一段深くなります。
季節の移ろいを、身体で読む
養生というと、「何を食べればよいか」「何をすればよいか」と答えを求めたくなります。しかし、その前にできることがあります。朝、窓を開けてみる。外へ出たときの風を感じる。日が暮れる時間を見る。喉や肌の感触に気づく。昨日と今日の違いを、自分の身体で受け取ってみることです。二十四節気は、昔の人が自然を細かく見つめ、その変化に名前を与えた暦でもあります。白露という名前を知ったなら、今年の白露を探してみてください。草の露かもしれません。朝の冷たい風かもしれません。あるいは、夕暮れの早さかもしれない。季節を知識として覚えるのではなく、自分の身体で見つける。そこから養生は始まります。
まとめ|秋は、静かにやってくる
白露を迎えても、まだ暑い日は続きます。それでも季節は、確かに動いています。朝露が宿り、風の温度が変わり、日が少しずつ短くなる。その小さな変化を身体もまた受け取っています。夏と同じ暮らしを惰性で続けるのではなく、今日の空気を感じながら、衣服を変え、食事を変え、眠り方を変えていく。秋に身体を合わせるとは、大げさな健康法を始めることではありません。自然が一歩進んだなら、自分も一歩だけ進む。 白露は、その歩幅を教えてくれる節気なのだと思います。
白露は、目に見えなかった秋が、朝露となって姿を見せ始める頃。暦だけで季節を知るのではなく、朝夕の風、喉や肌、日の短さに秋を感じながら、暮らしも身体も少しずつ次の季節へ移していきましょう。
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FAQ
白露とは何ですか?
なぜ「白い露」と書くのですか?
東洋医学で、なぜ秋は「肺」の季節なのですか?
白露の頃は、どんなことに気をつければよいですか?
For English Readers
Hakuro: When Autumn Becomes Visible in the Morning Dew
Around September 7, the traditional Japanese calendar enters Hakuro (白露), one of the twenty-four seasonal divisions. The name literally means “white dew,” referring to the time when cooler nights allow dew to form on grasses and leaves, shining pale in the morning light.
Hakuro marks a subtle turning point. Daytime temperatures may still feel like summer, but mornings and evenings begin to carry a cooler quality. Traditional East Asian medicine associates autumn with the Lung system, the element Metal, and the color white. The Lung in this traditional framework refers not only to respiration but also to the body’s relationship with the external environment, including the nose, skin and body surface.
This is also the season when dryness gradually becomes more noticeable. Traditional medicine observes that early-autumn dryness and late-autumn dryness do not always have the same character—a distinction described as Warm Dryness and Cool Dryness, which we will explore in a separate article.
Hakuro reminds us that seasonal self-care begins with observation. Notice the morning air, the changing light, your throat and skin, and the difference between daytime warmth and evening coolness.
When nature takes one step toward autumn, let your daily life take one step with it.
【おすすめの漢方薬】
この季節におすすめの漢方薬・漢方レメディ
秋ということで、東洋医学では肺の季節。
肺というのは大元で、そこに関連する部分として喉、皮膚、肛門などがあります。
つまり、肺はこういった部位を養生するのが大切になります。
それぞれに対応する漢方薬がございますので、症状や体質に合わせて漢方薬を選んでまいりますので、お気軽にご相談ください。
※ インスタグラムやX、noteなどを見ていますと、「〇〇のときは〇〇湯」などと一覧で明示しているものがございますが、これらはあくまで参考程度にしておくとよいでしょう。自己判断はかえって治療の時期を逸してしまうことがありますので、しかるべきところでご相談してみてください。
漢方薬は、個々の体質に合わせた処方が大事になります。
当院をはじめ、漢方薬に詳しい漢方薬重視の薬局・薬店・ドラッグストアでのご相談をお勧めいたします。また、漢方薬は、変化する体質や時期によって変えていくこともありますので、定期的な受診をお勧めいたします。
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源保堂鍼灸院・院長
瀬戸郁保 Ikuyasu Seto
鍼灸師・登録販売者・国際中医師
東洋遊人会・会長/日本中医会・会長/東洋脉診の会・会長
東洋医学・中医学にはよりよく生活するための多くの智慧があります。東洋医学・中医学をもっと多くの方に身近に感じてもらいたい、明るく楽しい毎日を送ってほしいと願っております。





